【第6期】2018年12月12日のゼミ日誌

今回の日誌当番は、渡辺さんです。

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12月12日は、『天使も踏むを恐れるところ』についての発表二日目でした。今回は日野君、山本さん、白田さん、武田さんの発表です。

まず、日野君が「理想像からみる『天使も踏むを恐れるところ』の主題」というテーマで発表してくれました。フィリップ、ジーノの抱く理想の女性像や、その理想と現実が起こしたギャップに着目して纏められていたので、どうしてリリアとジーノが上手くいかず破滅してしまったのか、理解しやすかったです。また、タイトルの考察も興味深く、登場人物それぞれから見た「愚か者」を考えるのも面白いなと思いました。

山本さんは「『天使も踏むを恐れるところ』から見えるフィリップの心情変化」というテーマでの発表でした。フィリップのイタリアへの感情の変化、そしてアボット嬢への思いの変化について纏められており、場面ごとにフィリップが何を感じ、どのように変わっていったのかを順に見ていくことができました。「恋というものを知らないゆえに、アボット嬢への恋心を崇拝として消化している」という考察が印象的でした。

次は白田さんの「『天使も踏むを恐れるところ』におけるフィリップのイタリア観について」という発表でした。参考文献による引用が登場人物たちの行動の裏付けになっていて、彼らが作中でなぜそのような言動をしたのかをより理解できるようになりました。物語の序盤におけるフィリップのイタリア観は観念的なものであり、それがどのように変わっていくか、何がきっかけにして変わったのかを突き詰めて考えていくのも面白そうだなと思います。

最後の武田さんは、「『天使も踏むを恐れるところ』に見るオペラ鑑賞」というテーマで発表してくれました。作中における「オペラ鑑賞」は非常に重要な物語の分岐点であり、この発表ではオペラ鑑賞によって変化した登場人物について詳しく考察されていました。フィリップ、ハリエット、そしてアボット嬢のオペラ鑑賞の仕方が、そのまま彼らのイタリアに対する感情を表しているように思え、この場面ではとても考えさせられました。

次回は『天使も踏むを恐れるところ』に関しての発表最終日です。それぞれの発表で学ぶことや気づくことも多く、発表を通して自分の考えをもう一度冷静に見つめ直し、レポートに活かしていきたいと思います。

===ここまで===

理想と現実、イギリスとイタリア、男と女というような対比が面白い発表でした。残りの発表も楽しみです。