【第6期】2018年12月19日のゼミ日誌

今回の日誌当番は、宇佐美さんです。

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今週のゼミは、今年最後のゼミでした。授業の最初に、来年に読む本を決めました。E.M.フォースタ―の『眺めのいい部屋』になり、私はまだ読んだことがないのでどんな話か読むのが楽しみです。小説について深掘りするのもそうですが、E.M.フォースターについてもまた、小説を通して理解を深めていくことも楽しみです。

 授業の本題の、『天使も踏むを恐れるところ』の発表は横田さん、宇高さん、巨島さん、浜崎でした。まず横田さんの発表では、タイトルに惹かれました。「赤ん坊は誰の手に渡るのが幸福なのか」という誰にでも思いつかないタイトルで、どんな内容なんだろうと発表を聞く前から楽しみでした。ヘリトン家かアボット嬢かジーノとその婚約者に育てられるとしたら赤ん坊はどう育つか、それぞれ考えられていました。登場人物のキャラクターも踏まえながら考えられていて、例えばヘリトン家に育てられるとすると、ヘリトン夫人の世間体を気にする性格、ハリエットの愛国心から、赤ん坊はイギリス人の型にはまって生きていくことになる。このように推測しながら内容を深めていくのも面白いなと思いました。
 次に宇高さんの発表では「イタリアを訪れた登場人物たちの成長」でした。イタリアを訪れたリリア、ハリエット、フィリップ、アボット嬢だったが、この4人の中で成長が見られた2人、見られなかった2人と、一人一人まとめられていました。また、先週矢次先生が言われていた「イタリアが開放的か」に対して、男性にとっては開放的だけれど、イギリス人のリリアなど、女性にとっては周りの物に縛られるからそうではないと、男目線と女目線でまとめられていて分かりやすいなと感じました。
 さらに巨島さんは小説を通して作者が伝えたかったことについて発表してくれました。登場人物から見てのイタリア感で、リリアだと、初めは結婚後の家の主導権は自分にあると思っていたけれど、次第にジーノとの価値観の違いが明確になり地獄の日々が始まることや、逆にイタリアを訪れたが信仰心が強く愛国者であるハリエットは、イタリアの影響を受けることがなかったなど、登場人物を比較するのが面白かったです。そして巨島さんの発表を聞いていて、最初から話の軸がぶれていなくて理解しやすいなと感じました。
 最後の浜崎さんはイギリスの中産階級についての発表でした。一番印象に残っている場面が、アボット嬢についてです。一生懸命に慈善活動をしているが、容姿にも物腰にも若々しさが感じられないアボット嬢だが、イタリアへ行くことについては彼女なりの思いがあったのかに対して、私自身もあまり口には出さないが強い思いを持っていることがよくあるので共感しました。

 後期で『天使も踏むを恐れるところ』を読み、みんなで深掘りをしてみて、やはり一人で考えるより多くで考えたほうが様々な発見が見つかって面白いなと感じました。またみんなで授業を受けるのが楽しみです。来年もよろしくお願いします。

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難しい箇所も多々ありましたが、一通り終わってみれば、面白かったですね。来年度『眺めのいい部屋』を読んだ後で、『天使を踏むを恐れるところ』を読み返してみると、新たな点に気づくのではないかと思います。