【第4期】2017年6月29日のゼミ日誌

今回の日誌当番は伊藤さんです。

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今週のゼミは、『大いなる遺産』を読んでの発表を行いました。

横垣さんの発表は「『大いなる遺産』におけるピップの成長」についてでした。
紳士とは何なのか、ピップはどのように成長したのかということを主に発表されていました。
紳士の定義が19世紀以前と以降で変わっているというのをこの発表で初めて知りました。定義も歴史の流れに沿って変わっていくことによって言葉自体も活きているということだと思いました。

顧さんの発表は「ピップとエステラの愛情とは何か」についてでした。
ピップにとっての愛情とは「女性からの愛を求めている」ということであり、エステラにとっての愛情とは「誰かに愛されること」ということだという発表でした。
子供の頃に受けた影響は大人になってもそのまま変わらずどこかで影響を与えるということだと思います。

上岡さんの発表は「『大いなる遺産』と『坊ちゃん』の類似点」についてでした。
私は日本文学である『坊ちゃん』と『大いなる遺産』の接点というのを考えたこともなかったのですごい興味深い発表でした。
『坊ちゃん』を通して『大いなる遺産』をみることでより作品を近くに感じることができるような気がしました。
ピップも坊ちゃんも親の愛情不足という点が似ており、そこから性格が形成されていったのでやはり親の愛情というのは大事なものだと思いました。

横井くんの発表は「『大いなる遺産』における親と子」についてでした。

ピップとジョーの関係とピップとマグウィッチの関係について主に発表されていました。ジョーもマグウィッチもピップにとって親のような存在であったことにはかわりありませんが、愛情の与え方が違うようでした。ジョーはピップに見返りを求めない無償の愛を与え続けたのに対し、マグウィッチはピップを自分の思い通りの大人に育てようとする一種の見返りのようなものを求めた愛を与えています。そしてマグウィッチの愛はミス・ハヴィシャムとエステラとの関係とも似ているということにも気づくことができました。

“Look at her, so hard and thankless, on the hearth where she was reared! Where I took her into this wretched breast it was first bleeding from its stabs, where I have lavished years of tenderness upon her!” (P304 l.20)

“It’s best as a gentleman should not be known to belong to me now. Only come to see me as if you come by chance alonger Wemmick. Sit where I can see you when I swore to, for the last o’ many times, and I don’t ask no more.” (P447 l.18)

この2つの文はミス・ハヴィシャムとマグウィッチの見返りを求めた愛情がよくわかる部分だと思います。

ミス・ハヴィシャムとエステラ、マグウィッチとピップの関係性は全く違うもののように思えますが、深く読んでいくと共通点を見つけることができ新しい発見でした。

4人の発表を聞いて、自分とは違う視点で作品を見ていてさまざまな気づきを得ることができました。

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いろいろな意味での愛情に焦点を当てた発表が、今回は主でした。自分では思いもつかなかった新たな点を発見できるのが、ゼミの中で作品を読む醍醐味ですね。