【第5期】2018年7月5日のゼミ日誌

今回の日誌当番は、松浦さんです。

===ここから===

今日の授業は私の担当箇所の続きからでした。

ミス・ケントンと再会する前に思い出す最後の回想部分でした。
この回想部分で、私は人間味のないスティーブンスが印象に残り、そこをピックアップしました。

特にそれが強く出ていた部分は

‘I will do my best to secure a replacement at the earliest opportunity, Miss Kenton. Now if you will excuse me, I must return upstairs.’ (229)
‘Am I to take it,’ she said, ‘that after the many years of service I have given in this house, you have no more words to greet the news of my possible departure than those you have just uttered?’ (229)

です。
ここの会話からスティーブンスの感情を伺うことが出来ませんでした。彼が執事として生きるが故に人前では執事という姿を脱ぐことはしないという意思を感じました。
本当に感情がないのか、感情を押し殺しているのか、どちらとも取れるので、この作品の面白さを実感しました。

私が担当した箇所は先程も述べたようにミス・ケントンと再会する前に思い出す最後の回想です。ここの回想は締めが執事としての集大成となっていますが、本質はミス・ケントンとの会話ではないのか?考えています。

授業の中で気づかされたことですが、あえてここまで思い返さなかった可能性もあると指摘され、確かにそれも考えられるなと感じたので、もう一度作品を読み直し、深めていきたいと思いました。

次に羽藤さんの担当箇所に入りました。
ここはスティーブンスの回想の後半部分です。カーディナル様とスティーブンスとの会話が主でした。

ここで私が印象に残ったことは、卿に固い信頼を寄せるスティーブンス、という所です。

‘I’m sorry, sir, but I cannot see that his lordship is doing anything other that which is highest and noblest. He is doing what he can, after all, to ensure that peace will continue to prevail in Europe.’ (236)

ここからも分かるように、スティーブンスはカーディナル様のいうことに全く聞く耳を持ちません。スティーブンス自身が卿に信頼を寄せているのかは分かりませんが、少なくとも、執事としては卿に信頼を寄せることが正しいと思っているスティーブンスが印象的でした。
ティーブンスは出来事を振り返り、その語りの中で「車輪」という言葉を使いました。これは執事としての話をするときにこれ以前の語りの中で、同じ言葉を使用していました。ここから考えられることは、①彼の執事としての品格はぐらついていない。②旅でいろいろ経験したが、同じ言葉を使い考えが変わっていないように見せている。この2つが授業の中で出てきました。私は後者だと考えています。

今回の授業で大分終盤まで来て、深く考えることが多くて、今一度整理したいなと感じました。
そして物語の中で大きく深く読み込む点として、回想から2日間空いていて、ミス・ケントンと再会することになります。
この2日間なぜ沈黙だったのか?ここを次回の授業までに深く考えていきたいと思います。発表も近づいてきているので、しっかり物語の流れなどを整理しておきたいと思います。

===ここまで===

ティーブンスの旅も大詰め、彼がどのように落とし前を付けるか…というところまで来ました。松浦さんの言う通り、しっかり整理して、彼の旅がどのようなものか、彼がその時点で自分の人生をどのように結論するか、考えていきましょう。