【第4期】2017年5月18日のゼミ日誌

今回の日誌当番は、上岡さんです。

===ここから===

5月18日のゼミでは大いなる遺産の7章から12章までを読み進めました。

〈要約〉
ジョーが優しい性格なのはジョーの母が暴力を受けていたからという理由やピップがエステラに馬鹿にされたことから自分にますます劣等感を抱くようになった。姉はミスハヴィシャムの屋敷の様子を聞きたがりましたが、ピップは質問にきちんと答えなかった。しかし、ジョーに対してだけは正直にありたいとピップは思っていた。ピップはビディーの協力のもと自分を変えるために努力を始めた。約束の日が訪れ、ピップは再び屋敷を訪れた。前とは違う建物に案内され、部屋には3人の女性と1人の紳士がいました。彼らはピップを軽蔑した。遊ぶことを拒むピップにミス・ハヴィシャムはエステラを歩かせる労働を提案した。ピップはエステラが許可したので彼女の頰にキスをしたが、粗野な労働者の賃金として与えられものだと思った。ピップは青白い若紳士を殴ったことが不安になり、服を洗濯した。また、この頃からみながピップの将来について話すようになった。ある日ミス・ハヴィシャムがピップをジョーの徒弟にしてはどうかと相談したところ、姉のジョー夫人は癇癪を起こしてしまった。


〈まとめ〉
ピップがエステラと交流する中で自分自身に劣等感を抱くようになったのは、囚人に脅されたときに嘘をついたことと姉にひどい育てられ方をしたからで大人になって過去を冷静に分析することで納得しているピップたちを見て、こういうことを誰でも経験してそこから傷を癒していくのではないのかと思いました。

特に重要だと思った点はThat was a memorable day to me, for it made great changes in me. But,it is the same with any life.(p72l24)ピップがミス・ハヴィシャムの家に行ったことが人生の分岐点になったことを作者のディケンズが読者に問いかけているところだと思いました。ディケンズはこの後も数回読者に問いかけている場面がありますが、その全てが読者の共感を呼ぶ書き方をしていると思いました。

また、そう言ったピップを励ますのはいつもジョーであることに私も疑問を持ちました。こういったポジションは主に女性がするイメージがあったからです。これがその当時の時代背景が関係しているのか、それともディケンズの経験からなのか大いなる遺産のまとめのプレゼンテーションで発表してもおもしろいと思いました。

大いなる遺産は読んでいてすぐ答えがでないのでここで謎めいた男が登場したり、青白い若紳士とピップがボクシングをする意味はあるのだろうかという伏線が張られていて読んでいて面白いです。まだ、上巻の半ばと言ったところですが一度読んでわからなかったところをもう一度みんなで読んでよりこの作品を理解していきたいです。

===ここまで===

励ますのは女性のポジション…いい気づきですね。後にジョーがピップを看護する場面がありますが、そうすることを通してジョーは女性的な役割を果たしている点に着目した論文があることを思い出しました。考察するポイントとして面白いと思います。

【第5期】2017年5月24日のゼミ日誌

今回の日誌当番は石田さんです。

===ここから===

今回は前田君と松浦さんのレジュメに沿って8章から9章の初めまで読み進めていきました。

8章はエリザベス、ビングリー姉妹、ダーシー氏、ビングリー氏の会話を通して、当時の女性の教養について、またどんな女性が好ましいとされていたのかが良く分かる場面でした。

ビングリー姉妹のエリザベスに対する嫌味と悪口が次々に出てきますが、そこから当時好ましくないとされていた女性像を読み取ることができます。
"It seems to me to show an abominable sort of conceited independence"
現代だと男性でも女性でも独立しているということは前向きで良い印象がありますが、当時は女性にとってマイナスのイメージだったということが印象的でした。

そしてビングリー姉妹はエリザベスは無礼で趣味も悪く美人でもないと散々に言いダーシー氏からも悪口を引き出そうとしますが、空振りに終わります。
"They were brightened by the exercise"
という台詞からダーシー氏のエリザベスに対する強い好意が現れていました。

またこの場面ではベネット家の身分が低い親戚たちの話題も出されています。
"...their uncle is an attorney in Meryton."
事務弁護士(attorney)は法廷弁護士(barrister)より立場が下であり軽く見られています。
"...They have another, who lives somewhere near Cheapside."
チープサイドは、商人たちが集まり住んでいる場所ということで馬鹿にされています。

8章の後半では、教養(accomplishment)に対するそれぞれのキャラクターの価値観の違いについて描かれています。
"...They all paint tables, cover screens and net purses."
ビングリー氏の教養に対するハードル(ペイントや編み物などの手仕事が出来ること)はかなり低め、というところが面白いと思いました。彼の寛容で優しい性格が現れています。
それに対し、ミスビングリーは音楽、歌、絵、ダンスの知識と複数言語の習得、さらに話し方や表現に素敵な雰囲気を持っていること、とかなりレベルの高いことを求めています。
"A woman must have a through knowledge of music, singing, drawing, dancing, and the modern languages..."
当時本当にこの要素を全て兼ね備えていた人はどれくらいいたのかな、と思いました。
それに加え、ダーシー氏は本を読むことも大事な教養の一つだとして取り上げ、さりげなくエリザベスを褒めている様子が伝わってきます。
"She must yet add something more substantial, in the improvement or her mind by extensive reading."
またビングリー姉妹がミスダーシーのピアノの才能を褒めており、ピアノも大切な教養だということが分かりました。

現代は家事をこなせたり料理が上手い、といったことが女性的で良いイメージがありますが、当時は音楽や絵など芸術的なことが重要視されていたことが印象的でした。

===ここまで===

女性の教養/たしなみについての議論、面白いですよね、ある程度上の階級での話ですけどね。