2013年7月11日のゼミ日誌(第1期)

今回の日誌当番は藤澤さんです。


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今回は、A Room with a Viewの10章の終わりと11章の124〜128ページまで読んだ後、レポートのテーマと概要の発表が2組ありました。レポートのテーマは、


「ルーシーの心情の変化について」(梅木さん)


「19世紀後半から20世紀にかけてのイタリアの様子」(豊田さん、森下さん)


です。


121ページは、セシルがエマソン父子に家を紹介した経緯をルーシーに話し、二人が議論を広げていきます。ルーシーがセシルの行動を‘it’s not fair.’と非難しますが、セシルはそれに対して ‘Perfectly fair. Anything is fair that punishes a snob.’と言い返します。ルーシーは、彼女とセシルがフェアではないと言いたかったのですが、セシルは階級におけるフェアを言っていると勘違いしてしまいます。彼らの食い違いを残したまま話が展開していくので、議論をしても理解し合えない二人にもどかしさを感じました。


11章では、ルーシーとシャーロットの手紙のやり取りがあります。その中でシャーロットは、イタリアでおきたことを家族やセシルに打ち明けるように勧めます。イタリアでは反対のことを言っていたシャーロットに、ルーシーは不愉快な気持ちになります。シャーロットの頼りなさや一貫性のないことがわかる場面でした。


126ページからは、ルーシーのピアノ演奏のところから読み進めました。イタリアの時とは違い、シューマンを弾くことで‘Art’になれない彼女の悲しみが表現されていました。


就寝前のヴァイズ親子の会話は、夫人が「ルーシーをヴァイズ家に取り込みなさい」と呪文のように繰り返しているのが印象的でした。その影響か、ルーシーは夢にうなされてしまいます。夫人は駆け付けますが、セシルはいびきをかいたまま寝ていたので、夫人以上に彼女を分かっていないことが明らかになりました。


<感想>
今回読んだところは、セシルの言動の矛盾とルーシーへの理解不足がよく表れていたので興味深く思いながら読みました。セシルは、本心と違った発言をしたり、流行りの言葉を真の意味も知らずに使っているので、そのようなセリフを読むと、いやなやつだな、と思っていました。しかし、何度も読み返すうちに、自分には彼のような矛盾した言動は全くないと言いきれないことに気づき、セシルという人物について考えさせられました。また、彼のモデルであるフォースターは、自身の矛盾しているところをセシルに重ねて描いているように思いました。


=====ここまで=====


ずいぶん前に読んだとき、セシルは取るにたらない人物のような気がしていましたが、よく読んでみると結構考えさせられる人物ですね。フォースターが自分自身の矛盾をセシルに重ね合わせて描いている・・・、確かにそういうところがあるかも。フォースターがどのような矛盾を抱えていて、セシルのどのようなセリフや行動にそれを重ね合わせているかを解明したら面白そうですね。