6月5日のゼミ日誌(第2期)

今回の日誌当番は森下さんです。

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今回の授業の担当は、第14章が八塚さん、第15章が石浜さんです。

第14章からルースのポシブル探しが始まります。

そっくりではないものの、外れとも言えない外見の、オープンプランのオフィスを見つけ、ルースのポシブルとしてそれらしい人も見つかりました。しかし、If we left it at seeing the woman through the glass of her office, even if we'd followed her thorough the town then lost her, we could still have gone back to the Cottages excited and triumphant. But now, in that gallery, the woman was too close, much closer than we'd ever really wanted. And the more we heard her and looked at her, the less she seemed like Ruth.とあるように、ガラス越しに見ていたからこそ、それらしい女性をルースのポシブルとして疑わなかったが、近くで見ると誰もがルースのポシブルではないと感じ始めます。

ガラス越しにルースのポシブルを見つけたことにルース以外のみんなが興奮する一方で、ポシブル探しをする当の本人であるルースだけは違うことに目を引きつけられました。

それらしい女性がルースのポシブルではないと分かり、いつもは臨機応変に対応し、自分をとりつくろうことができるルースが黙り込んだり、'We all know it. We're modelled from trash.[…]'と感情的になっている部分から、どれだけ自分のポシブル探しに期待し、ルースの中で重要なことだったかが読み取れると思いました。また、ルースの言葉は、自分自身に言い聞かせているようにも思えました。

自己認識という点でマダムの事件以来の2度目の事件といえると思います。

感想
私は、ルースのいつもと違う姿になんだか心が痛みました。自分が追い求める理想を期待していないと見せながら、やはり期待していたのかなと思います。ルースが自分を自らクローンと言っていることに少し驚きと切なさを感じました。事実を知るのと知らないのではどちらが彼女たちにとってはいいのか、疑問に思いました。

=====ここまで=====

「見る/見られる」と自己認識の関連はこの小説でかなり重要なポイントだと思います。その点に留意しながら読み直すと、あらたな発見があるかも。取り乱したり、弱々しかったりするルースには、森下さんの言う通り心が痛みますね。やっぱりルースは「女王さま」であって欲しいですね。事実を知っていた方がいいのか知らない方がいいのか、これは私たちも日常生活の中で日々考えさせられることですね。