6月19日のゼミ日誌(第2期)

今回の日誌当番は羽藤さんです。

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映画Never let me goの前回の続きを見ました。<感想>
今回はルースがトミーとキャシーに自分の過去の心境を告白し、謝罪する場面からでした。映画では、この後の展開がとても早いと感じました。それでも、全体を通しての映像の薄暗い感じや、ヘールシャムの周りの風景などは原作に忠実な感じがします。しかし、キャシーが歌を聴きながら枕を抱いて踊る場面の目撃者がマダムではなく、ルースに変更されています。私の中では、物語における大事な部分だったので、なぜなのか不思議に思いました。後半部分で印象に強く残ったのがルースの臨終場面です。これは原作には描かれていなかったように思うのですが、医師たちが機械的に臓器を取り出し、心臓が止まったルースを放置して手術室を去っていく光景に恐怖を感じました。手術室にいるトミーに最後まで悲痛な思いで微笑むキャシー。本当に心、魂を持っているのは誰なのかという問いかけのように思えました。また、トミーとキャシーがマダムを訪れた場面が大きく省かれていました。
原作ではエミリー先生が展示会の真相を語った後にキャシーが、なぜ魂があるかどうかの証明が必要なのか。魂がないとでも誰かが思ったのか、と率直に聞き返す台詞ががあります。この部分は、彼女たちクローンに魂があることを前提とせず、自分たちよりも劣った存在する人間の考え方を見せる重要な部分だったので削られていて残念でした。

映画を見終えた後の皆さんの感想では、やはりルースの臨終シーンの衝撃が強かったという意見が多かったです。また、全体を通して、恋愛要素が原作よりも多くでているという意見もありました。確かに原作は、キャシーとルースの微妙な友情関係をより重視していたように感じました。

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ルースの臨終シーンをはじめとして、映像の力は強いですね。読んでから観た方がいいか、観てから読んだ方がいいか、悩むところですが、最初に観てしまうと読みながら映像に引きずられ過ぎてしまうような。

羽藤さんも書いている通り(そして、矢野さんも書いていた通り)、マダムやエミリ先生とキャシーたちの関係に関する部分が映画ではかなり省略されているので、それが惜しいですね。そう考えると、映画を観て原作を読んでいない人には、ぜひ原作を読んでほしいと思いますね。