2016年12月14日のゼミ日誌

今回の日誌当番は伊藤さんです。

===ここから===

今日も、先週に引き続き、Never Let Me Goの13章から18章までを読んでいきました。今回の場面は、ロドニーとクリシーが見たというルースのポシブルを探すために、ノーフォークへ向かう場面から始まります。しかし、先輩二人はポシブルを探すことが本当の目的ではなくキャシーたちを連れ出すための単なる口実でした。彼らは「ヘールシャム出身であれば、愛し合っている2人は2年間の猶予がもらえる。」といううわさが本当であるのかを確かめるために3人を連れ出したのです。3人はこのうわさについてあまり知らず、ロドニーとクリシーはがっかりします。ノーフォークに着き、ロドニーはバースデーカードを買いに行きたいと言い出します。授業中にも話題に上がりましたが、彼らの誕生日とはいつなのでしょうか。誕生日はあるのでしょうか。普通の小説の一場面であれば、何も思わない言葉でもこの小説の中に入ると一気に言葉に重みがあるように感じました。そしてついに、ガラス張りのオフィスの中にルースのポシブルのような女性を発見します。その女性がオフィスから出てきたのであとを追いかけて行ってみてみると違っていました。そのあと、キャシーとトミーはほかの3人とは別行動をします。そこで以前キャシーがなくしたテープを探します。ノーフォークは「イギリスのロストコーナー」と呼ばれているので、なくしたテープもあるかもしれないということです。2人はなくしたテープを見つけるのですが、このテープはもともとキャシーが持っていたものなのか、それともただ同じものというだけなのかここもクローンとオリジナルを表しているのかどうなのかという話になりました。私はこのテープはキャシーが持っていたものではなく、ただ同じものというだけだと思います。何個でも作れるというのがクローンを暗に表しているような気がしました。

ノーフォークから帰ったあと3人の関係はギクシャクしていきます。トミーが猶予をもらうためには「絵が必要」と思っていることをバカにしていると勘違いをしたからです。さらに、ルースから言われた一言でキャシーは傷つき、コテージを離れ介護人になる決心をします。

キャシーは介護人になり、孤独な生活を送るようになります。

Some carers, though, their whole attitude lets them down. A lot of them, you can tell, are just going through the motions, waiting for the day they’re told they can stop and become donors.

この英文は横井くんも取り上げていましたが私もとても気になりました。
ほとんどの介護人ははやく提供者になりたいと思うようですが、私は不思議でした。提供者になるということは死に向かっていくということで介護をしているので、提供者の大変さつらさをしっているのに提供者に早くなりたいと思うのかと思いました。

キャシーは旧友のローラに会い、ルースの介護人になることを決心します。しかし、ルースはキャシーを信用しておらず、雰囲気が悪くなっていきます。2人は湿地に座礁した船を見に行き、トミーに会いに行きます。

Never Let Me Goという題名ですが、この思いが1番強いのはルースではないかと話が上がりました。その通りかもしれませんがこの話はキャシーが語り手です。もしかすると、キャシーが1番思っているという風にも取れるのではないかと思いました。なぜなら、ルースにどれだけいやなことをされてもルースから決して離れていくことはなかったからです。コテージを離れる際はバラバラになりましたが、そのあとルースの介護人になります。キャシーもきっと独りになるというのがいやだったのだと思います。

===ここまで===

ノーフォークはキャシーたちにとって特別な場所の一つですね。だから、23章でキャシーはノーフォークに戻っています。23章と言えば、伊藤さんが引用している英文を思い出させる箇所もあります。それらについては、12月21日のゼミで話しましょう。