【第4期】【第5期】合同2018年1月17日のゼミ日誌

今回の日誌当番は、3回生【第5期】の石田さんです。

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今回は4回生の皆さんの発表を聞きました。

石川さんの「『ロミオとジュリエット』と『夏の夜の夢』における恋」では、両作品における恋の特徴や共通点などについて知ることができました。「恋の盲目性」という言葉が印象的で、私はこの言葉から情熱的、一途であるという比較的ポジティブなイメージが浮かぶのですが、無分別・思慮の欠如といったネガティブさもあるのだと気付きました。恋は二面性のあるもので、人を幸せにすることもあれば、狂気させてしまうこともあるという点が印象的です。

星加さんの「『嵐が丘』における家父長」では、嵐が丘に登場した男性たちがどのように家父長制度と関わっていたのか、詳しく見ることができました。家父長は、家族の中で最高の権威を持つ者ですが、作中ではその権力が良い形で用いられることがあまりありません。家父長制によりヒースクリフは教育の機会を、ヒンドリーは父親の愛情を奪われます。そして2人は同様に家父長制を復讐の道具として使っています。与えることも、奪うこともできるという点で、家父長が物語において主人公たちの障壁となりうるものだと思いました。

上岡さんの「ヘールシャムにおける不安定型の愛着スタイル」では、『私を離さないで』の登場人物であるキャシー、ルース、トミーそれぞれの心理状態を詳しく見ることが出来ました。1人で想いを抱え込み人に甘えられないキャシー、愛されたい、認められたい気持ちを抑えられないルース、そして傷付きやすく繊細なトミー。それぞれが不安定型に属しているという点が印象的でした。閉鎖的なヘールシャムという空間の中で、安定型でいられる子供はいるのだろうかと気になります。また、ヘールシャムと児童養護施設の類似点というところで、自分の居場所を探す施設の子供たちという項目が印象的でした。ヘールシャムの子供たちは「提供」により長くは生きられないということが決められており、その中で自分のルーツや生き方を探し求めるのは一体どんな気持ちなのだろう、と考えてしまいます。

今回取り上げられていた作品は内容を知っているものが多かったのですが、自分では考えたことがなかったテーマで考察されていて、勉強になりました。改めて、ひとつの作品でも様々な視点から様々な解釈ができるのだなと思います。

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4回生の卒業研究の発表は、3回生にとって大いに参考になったと思います。今までのゼミでの活動や、春休み中のリサーチを経て、4月の進捗状況発表会で何を発表してくれるか、楽しみにしています。3回生は今後の計画を立てること、4回生は卒業研究の最終的なまとめをすること、それぞれ頑張りましょう。