【第5期】6月28日のゼミ日誌

今回の日誌当番は、前田くんです。

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今回は、私の範囲の追記のレジュメからスタートしました。

ティーブンスが村人達に身分を偽って会話をする場面で、私はスティーブンスが自身の品格を保つため、非難を恐れて身分を明かさなかったのではないかと考えました。

また、ミスター・スミスとスティーブンスの品格についての意見の食い違いがあったとき、スティーブンスが自身の考えを肯定するかのような記述がありました。しかし、その語り手としての語り方は、以前よりも弱く、自信がなさそうにも見えました。
これは旅の始まり以前からスティーブンが持っていた執事としての主張が揺らぎつつあるのではないかとの見方もありました。

次は村上さんの発表でした。
過去の回想でスティーブンスが仕事をしていたとき、ダーリントン卿が前日の夜の事をスティーブンスに謝罪しながらも、やはり上流階級の人間が政治に関わるべきだと語ります。
'Stron leadership' が必要とも言っていましたが、当時のドイツの影響もあり、ダーリントン卿が階級差別をしているとの見方でした。

さらにスティーブンスの考えも変わってきていました。
'It is hardly my fault if his loadship's life and work have turned out today to look, at best, a sad wasteーand it is quite illogical that I should feel any regret or shame on my own account.'
と、これまで主人に忠誠を誓い、立派な主人に仕えた事こそが私の誇りであると述べていたのにも関わらず、ここではダーリントン卿の仕事と自分の仕事は無関係であると述べています。
ティーブンスの心の揺らぎが大きくなりつつある事が見えました。

次は矢原さんの発表でした。
矢原さんはここで初めて雨の表現が使われている事を読み取り、これは今後の展開の予兆であると考えていました。

ティーブンスが医師のカーライルに「品格とは結局なんなのか」と聞かれた時、'But I suspect it come down to not removeing one's clothing(執事としての) in picnic.'
と答えました。つまりスティーブンスの父親が亡くなった時も、ミス・ケントンの糾弾を受けた時もスティーブンスが態度を崩さなかったのは、スティーブンスがこのような考え方をもっていたからだと分かりました。

今回読み進めたところでは、スティーブンスの心の揺らぎが顕著に表れていたと思います。
なんとか自分の主張を押し通したいが為に支離滅裂になっているところが印象的でした。
いよいよ物語はクライマックスを迎えるので、最後にスティーブンスにどのような心境の変化が表れるのか、楽しみです。

===ここまで===

ティーヴンスとミス・ケントンの微妙な?やり取りが印象的な回でした。彼女のことをこのように思い出していたスティーヴンスが、実際に彼女に会って何に気づくのか、じっくり読んでいきましょう。