2013年6月20日のゼミ日誌(第1期)

今回の日誌当番は曽根さんです。


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今回は、A Room with a ViewやE.M.Forsterに関するレポートのテーマとアウトラインについての発表をしたのち、A Room with a Viewを読み進めました。みなさんのレポートテーマは、


「『眺めのいい部屋』における中産階級から見たイタリアについて」(井上さん)


「『眺めのいい部屋』におけるイタリアが登場人物に与えた影響について」(藤澤さん)


「サンタ・クローチェ地区について」(野村さん)


「19世紀後半から20世紀初頭のイギリス住宅問題」(山下さん)


「抵抗するルーシー」(柿本さん)


「E・M・フォースター作品の比較」(敷島さん)


「『眺めのいい部屋』における場所の力」(曽根)


です。来週発表の方もおられました。レジュメをいただきましたが、おもしろそうなテーマばかりです。


102ページから103ページにかけて、セシルとルーシーはフェンスについて議論します。セシルは、‘A parson fenceless would mean a parson defenceless.’と言い、ビーブ牧師を、遠まわしに批難します。ビーブ牧師を偏った意見を言わないおおらかな人物だと考えるルーシーは、‘Don’t you like Mr Beebe?’と尋ね、セシルに同意してもらうことを期待していることが伺えます。


110ページからは、セシルとルーシーは部屋と眺めについて議論します。セシルを室内と結び付けるルーシーと、インドアなイメージを持たれたくない願望を持つセシルの意見は食い違い、やはりここでも二人の議論は同意に達しません。森の中にある聖なる湖に着くとルーシーは、ここはフレディーがよく水浴びをした彼の大好きな場所なのだと話し、セシルは‘And you?’と、君もここが好きなのかという意味で聞きますが、ルーシーの答えは、私も水浴びをしたというものでした。女性が屋外で裸になるなんて思いついていないセシルは狼狽しますが、ルーシーの率直さを喜びます。二人の女性観の違い、さらには他人に対してどのくらい親しくなれるのかといった価値観の違いが表れています。


112ページから最後にかけては、二人の最初のキスの場面です。キスをロマンチックなものにしたいという願望を持つセシルは、まわりくどくキスさせてくれと言います。しかしルーシーの反応は、すんなり受け入れ、恥じらわず自分でヴェールを持ち上げたりと、セシルの思い描いたものではなく、ロマンチックではない最初のキスになりました。


<感想>
ルーシーがセシルのことを、眺めのない部屋の中のイメージと捉えているのが興味深かったです。「眺め」には、純粋に物事の本質を見ることができたり、広い視野を持っているというような意味があるのかな?と思います。セシルには教養がありますが、他人を受け入れることができない、「眺め」のない人物なのだと感じました。そして、ルーシーの2度目のキスシーンが印象的でした。先にすみれの野原でジョージと交わしたキスとは対照的で、情熱が感じられませんでした。セシル目線で描かれているので、ルーシーがどんな感想を持ったのか気になりました。


=====ここまで=====


セシルとの最初のキスにルーシーがどのような感慨を抱いたのか、ここには書かれていないので、そのほかの部分から読み取るしかないですね。みなさんのレポートプランの中に、各場面で咲いている花に着目したものがありましたが、その辺へのフォースターのこだわりを分析しながらルーシーの心情を解明することも可能かもしれませんね。


みなさんの卒業研究のプランも楽しみ♪ 締め切りは8月9日ですよ。参考文献等の相談はできるだけ、それよりも前にしてくださいね。