2013年6月26日のゼミ日誌(第2期)

今回の日誌当番は石浜さんです。


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今日は発表の続きで、浪本さん、内藤さん、矢野さんが発表をしてくれました。


まず、浪本さんが先週時間の都合上カットしてしまった部分を含め再度発表してくれました(テーマは「オースティン作品が愛される理由」)。世界中で愛されるオースティン作品の人気の秘密を5つの項目に分けて分かりやすく説明してくれました。オースティンはヴィクトリア朝の作家と勘違いされることが多いが摂政時代(リージェンシー)の作家であること、小説は現実に忠実でなければならないというオースティンのこだわりから見える描写の細かさ、現代でもジェイナイトと呼ばれる熱狂的なファンを中心にたくさんの人々に愛されていることが個人的に印象に残りました。エリザベスのヒロイン像が時代を超えて女性の共感を得ている点は、自分もその女性の一人だなと思いました。オースティン作品の魅力がとてもよく分かる発表でした。


次の内藤さんの発表テーマは、「ジェイン・オースティン&セス・グレアム=スミス 『高慢と偏見とゾンビ』について」でした。エリザベスが残忍な性格であることや、ゾンビの描写のおぞましさ、コリンズ夫妻やウイッカム、リディアの気の毒さなどには正直心痛みました。その反面、ニンジンやゲイシャなどの東洋の分化のゾンビの融合やキャサリン夫人とエリザベスの決闘など思わず笑ってしまう部分も多かったです。そう言った痛快な要素の中、エリザベスの二面性、ゾンビが象徴するものなどの読書の手引きを考えると、非常に深い見解が見出せるのではないかと思いました。『高慢と偏見』にはいくつか続編やパロディ小説がありますが、この作品もまた独特な角度から原作の素晴らしさを引き出しているなと感じました。聞いててとても面白かったです。


最後の矢野さんの発表テーマは、「ミステリーとしての『高慢と偏見」でした。P.D.ジェイムズの『高慢と偏見、そして殺人』は原作誕生200周年を記念して出版されたミステリー小説で、ダーシー視点で描かれている点が面白いと思いました。エリザベスは最初からダーシーを射止めるつもりだったと言う作者の皮肉的な文章が印象に残りました。また、警察組織と裁判についての説明があり、より深く作品を理解することができたと思います。この作品は、作者のオースティン愛があふれているなと感じました。結末がどうなるのか、この小説を読んでみたくなるような発表でした。


今回の発表も全て、もっと聞いていたいと思わせるような、印象に残る面白いものばかりでした。先週までの時代背景などの発表とはまた違った視点から、オースティンや『高慢と偏見』を理解することができたと思います。次回は2週空きますが、加藤さんの発表や今までの発表の補足があり、とても楽しみです。


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今日の発表をまとめるなら、オースティン・ファンがオースティンへの愛情をどのように表現したか、そもそもオースティンが好かれるのはどのような点なのか、誤解されているとすれば何なのか、というところでしょうか。私、恥ずかしながら、『高慢と偏見、そして殺人』にも、今年がPride and Prejudiceが出版されて200年ということにも気付いていませんでした…。気付かせてくれて、ありがとう。『高慢と偏見、そして殺人』はさっそく購入しましたよ♪