10月24日のゼミ日誌(第1期)

今回の日誌当番は曽根さんです。

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今回の授業では、前半に、卒業研究の引用文献リスト作成に関するみなさんの疑問点を、先生が解説してくださり、後半に、Never Let Me Go第10章〜第12章について取り上げました。インターネット上の文献の利用の仕方や、著者名の表記
の仕方など、基本的なことですが、知らなかったことがたくさんあり、とても勉強になりました。

第2部に入る、第10章〜第12章では、キャシーたちがヘールシャムを卒業し、コテージに移り住んでからの様子が描かれています。特別大きな事件は起こりませんが、いくつか気になる点があります。まず、コテージの先輩の行動の多くがテレビからの物真似であるとキャシーが気づき、‘It’s not something worth copying,’と言って、嫌悪感をあらわにすることです。物真似の気持ち悪さを、クローンであるキャシー自身が体験するという、自己意識に関する重要な場面でした。先生が説明してくださった『不気味の谷現象(The Uncanny Valley)』がとても興味深かったです。ロボット工学では、人間にきわめて近いロボットによって、嫌悪感が引き起こされることを、『不気味の谷現象』と呼ぶそうです。

第11章で、キャシーはルースに悩みを打ち明けますが、ルースは‘It does sound a bit weird. But it’ll probably go away. It’s probably just to do with the different food we’re eating here.’と言うだけで、悩みを解決してくれません。また、キャシーがボイラー小屋でポルノ雑誌を見ていたら、トミーに見つかる場面がありますが、ポルノ雑誌を見ていた理由を、キャシーは話しません。ルースはキャシーに対してどのような思いを抱いているのかと、語り手であるキャシーの信頼性が問われる章でした。

<感想>
キャシーとルースは日中険悪になっても、毎晩のように就寝前に二人で話し込むというのが印象的でした。キャシーもルースも素直でないな、と感じました。二人は親友であって、ライバルのような関係なので、無理ないのかもしれません。授業とは関係ありませんが、『不気味の谷現象』が気になり、『Disney’s クリスマス・キャロル』を見ましたが、不快感はありませんでした。コンピュータ動画などでは、見る人が不気味の谷に落ちないように、キャラクターに非人間味を持たせるなど、様々な工夫がなされているようです。

=====ここまで=====

今回読んだ箇所はそれほど大きな出来事が起きるわけではないですが、クローンという存在や、今後のキャシーたちの人生を考える上で重要な個所だったと思います。人間性/非人間性とは何か、考えさせられますね。