10月17日のゼミ日誌(第1期)

今回の日誌当番は敷島さんです。

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今回の授業では7章から9章までを取り上げた。7章ではヘールシャムでの最後の数年間、13歳から16歳で巣立つときまでをキャシーが語っている。they were more serious, and in some ways darker.とあるようにこの数年間は前半より暗い期間であり、深刻な思い出が多かった。ルーシー先生の英語の授業で第二次世界大戦で捕虜になり、収容所に入れられた兵士のことが話題になり収容所を囲むフェンスには電気が流れていたそうだと騒ぎになった。その時ルーシー先生の顔から血の気が引いたように(a ghostly expression)キャシーは思った。その後ルーシー先生は’It’s just as well the fences at Hailsham aren’t electrified. You get terrible accidents sometimes.’ と口にしているが、これはルーシー先生が生徒たちの外界に対する興味を感じ取り、あまり穏やかではない気持ちになったのだと思う。ピーター・Jが「映画俳優になれたらいいな、と話してました。スターの人生ってどんなだろうって」と夢を語るが、あなた方の人生はもう決まっています、臓器提供のために作られた存在であることを理解し、無益な空想はやめなさいと先生から言われ、生徒たちは改めて現実に直面させられる。

8章では生徒たちの多くは16歳になっており、キャシーはトミーの最近の情緒不安定の原因がルーシー先生に関係しているのだと気づく。「公」のカップルであったルースとトミーが仲違いする。
9章でルーシー先生が言った” Listen, Tommy, your art, it is important. And not just because it’s evidence. But for your own sake. You’ll get a lot from it, just for yourself. “という言葉は、良質な提供者として情操教育もできているのだということを示せるような人になりなさいという意が含まれていると思う。また生徒たちはクローンとしての人間性を養うためか、外の世界に慣れ親しむために文化講習の授業(Culture Briefing)を受けていた。しかし提供者としての人生が決定していて外の世界に出て行くことは今後ないのなら、このようなことは本当に必要なのだろうかと疑問に思ってしまった。

〈感想〉
臓器提供者としての人生が決まっていて、今後外の世界に出て行ける可能性もなく夢も叶えることができないなら勉強しても意味がないように感じて、自分なら無気力になってしまいそうだと思った。

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キャシーたちがクローンという特殊な存在であるとしても、彼女たちの悩みや問題を、私たち自身の問題として捉え直すことはできますね。いろいろと考えさせられます。