11月13日のゼミ日誌(第2期)

今回の日誌当番は矢野さんです。

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今日は最初に来年の演習で取りあげる作品についてのお話がありました。要望を募った結果などから次の5冊が有力候補として挙がっているそうです。

赤毛のアン
嵐が丘
日の名残り
『わたしを離さないで』
ピグマリオン

続いて、『デイビッド・コパフィールド』は第14章の「A GREATER LOSS」から読み進めていきました。この章ではついに、危要注意人物と思われていたスティアホースとデイビッドの幼馴染エミリーが駆け落ちして行方不明になってしまいます。P122の19行目からエミリーの婚約者ハムがデイビッドにエミリーがいなくなってしまったことを伝える場面が始まりますが、文面からでもいかにハムがこのことに対してショックを受け、動揺を隠せないでいるか、ということが分かりました。中でも27行目からの“My love, Mas’r Davy, −the pride and hope of my art−her that I’d have died for, and would die for now−she’s gone!”というハムのセリフからは、彼がエミリーを彼女のためなら死んでも構わないと思うほど心から愛していたということを読み取ることができます。これほどまでに、エミリーのことを愛していたハムのことを思うと、エミリーの駆け落ちは彼にとってまさに残酷以外の何ものでもないだろうなと思いました。また、そのあとに”think bow she’s run away, when iI pray my good and gracious God to kill her(her that is so dear above all things)sooner than let her come to ruin and disgrace!”とハムが述べており、当時は駆け落ちするような女性は、「墜落」や「不名誉」といった烙印を押されるよりはいっそ殺されてしまった方がましだと考えられていたことが分かります。現在でも“駆け落ち”と聞くとあまりいいイメージはないけれど、この当時は“駆け落ち”について今以上に厳しい見方がされていたのだなと思いました。その後、そんなハムの悲しみにさらに追い打ちをかけるのが、p123の22行目から始まるエミリーの置き手紙です。この手紙はハムに宛てて書かれたもので、“どうか自分のことは忘れて、ほかにいい人を見つけてほしい。自分がいなくなって悲しむであろう伯父さんの慰めになってほしい”といったことが書かれています。授業でも言われていましたが、このエミリーの置き手紙はとても自分勝手なものだと感じました。ハムに宛てておきながら、手紙の後半は伯父さんに対する今まで以上に感じている感謝などについて書いており、ハムの立場で読むと、何だか腑に落ちない気もしました。

今回で、作品を読み進めていくのは終了し、次回からは発表に移るということで、お互い頑張りましょう!

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スティアフォースはローザ・ダートルに対してもそうだったのだと思いますが、刹那的な行動が目につきますね。何が彼をそうさせるのか、考えてみると興味深いです。ハムの立場で考えれば、確かに腑に落ちません。ただ、スティアフォースの一件が起きずに、無事に結婚したとしても、エミリは満足できなかったような気がします。