12月11日のゼミ日誌(第2期)

今回の日誌当番は石浜さんです。

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今回は主にデイヴィットとディケンズのことについて、加藤さんと土居さんが発表してくださいました。

加藤さんの「デイヴィットとディケンズ」では、作品が書かれた背景、デイヴィットとディケンズの関係性、ヒーロー像について知ることができました。
加藤さんの定義によると、ヒーローとは、①主人公であること②憧れの対象であること③支配者(author)であることから、デイヴィットは自分の人生のauthorになれるのか自身に問いかけているところが印象的でした。また、スティアフォースやアグネスにヒーロー像を当てている点も興味深く、なるほどと思いました。そして、自伝的小説であるようにディケンズの仕事、恋愛、苦悩などいろいろな思いが詰まった作品であることを再認識できました。

土居さんの「チャールズ・ディケンズとデイヴィット・コパフィールド〜ディケンズの人生を通して」では、ディケンズの人生、デイヴィットとディケンズの共通点、ディケンズの功績や名言について知ることができました。
デイヴィットの一人旅はディケンズの実体験から来ている点からは、こんな所にも自伝要素が細かく入っているということを思いました。また、二人の共通点はとても多く、ディケンズがこの作品に特に愛着を感じる気持ちがよく分かりました。最後の「誰もがたくさん持っている今の幸せに目を向けなさい 誰もが少しは持っている過去の不幸は忘れなさい」という名言は本当に感銘を受け、前回下がったゼミ内でのディケンズ人間性への評価が少し回復されたように感じました。

前回、今回と引き続きディケンズとデイヴィットに焦点を当てた発表で、ディケンズに対する知識を深めることができました。発表の後の議論では、この作品はディケンズがデイヴィットに自伝を書かせ、過去の思い出を浄化するようなものであることや、ディケンズの本の好みがデイヴィットにも影響していることが挙げられました。また、スティアフォースについて、バイロニック・ヒーローや当時流行だったピカレスク小説の観点から彼の方がヒーローにふさわしかったのではと感じました。来週からの発表ではまた違った角度からの見解があると思うのですが、最終的にディケンズのゼミ内での評価がどうなっているのか、個人的に気になる所でした。

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ヒーローの定義やヒーローの条件についてはその他の指摘もありましたし、英文学研究Ⅱの『ジェイン・エア』では、ヒロインの条件についても話しましたね。もっと掘り下げることができそうです。

ディケンズは自分が過去にこだわり続けていたのに「過去の不幸は忘れなさい」と言った? それとも、自分がこだわり続けたから他人には「過去の不幸は忘れなさい」と言った? いったいどちらでしょうね?