4月24日のゼミ日誌(第2期)

今回の日誌当番は土居さんです。

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今回は第二章と第三章について取り上げました。担当はそれぞれ石浜さんと大井さんです。

まず第二章についてですが、ヘールシャム独特の教育方針について興味を抱きました。将来提供者として役目を終えるならば、こんなに人間らしく育てる必要はないんじゃないかと思いました。ですが執拗な健康診断や交換会には目的があり、社会と適応させるためやクリエイティブであることを重要視させるためでした。

またルーシー先生の言葉の、"What she said was that if I didn't want to be creative, if I really didn’t feel like it, that was perfectly all right." これは教育する側の人間が頑張らなくてもいいと言ってしまったルーシー先生の失言です。こんなことを言ってしまうルーシー先生はドジというかだめな教師だなと思いました。

次に第三章です。特に印象に残ったのは、ルースたちがマダムを待ち伏せした場面です。ルースたちは外部との接触を禁止されているので、初めて"マダム"という生物に出会ったのです。またマダムからの異常な反応にルースたちは大きな衝撃を受け、初めて自分や他者を認識し、夢想病のような心境でした。

また鏡も、鏡を通して自分を他人的に認識するので自己認識と同じような役割をしています。この章で私たちは他人の反応から自己認識をしているということを知りました。

また授業の最後に、the Uncanny Valley (不気味の谷)についての先生からの説明があり、ロボットも人間に近づき過ぎてある一点を過ぎると気持ち悪いという反応に変わるということを教えて頂きました。これがまさにマダムのルースたちに対する反応で、マダムはルースたちが人間でないことを知っていて初めてルースたちを見て人間に似すぎていて、触れたくない気持ち悪いという反応をしたんだと解釈することができました。<感想>
前回より話が深くなり、登場人物のそれぞれの色が出てきたと思います。その中でもトミーは変わっていて気になる存在です。

第二章のポイント3のキャシーはなぜトミーの言っていることが嘘だと感じたのかのところでクローンにとってクリエイティブが必要か不必要かという話題が出ましたが、私はどうせ明るい未来がないならクリエイティブさはいらないと思います。あれがしたい!とどんどん欲望や夢を膨らませても叶うわけがなく現実を見てショックを受けるなら、最初からそのようにクリエイティブはない方が将来単純に提供することを受け入れられるのではないかと思います。

第三章の、8歳のキャシーたちがマダムを待ち伏せしようと考えその計画を綿密に考えたり、マダムと対面したことで何かしらの違和感を感じたなんて、私の8歳の頃を思い出すと信じられません。やはりクローンだから何か私たち人間とは違うところがあるのかなと思いました。

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不気味の谷」を持ち出すことについては反論もあるかもしれませんが、特定の何かに対する私たちの反応を理論化しているという点で興味深いと思います。キャシーたちは私たちにあまりにも似ているからこそ、考えさせられることが多いですね。

ルーシー先生の言動の是非については様々な観方があるわけですが、私個人としては、彼女の気持ちは分かるなあという気がします。ルーシー先生が感じたような怒りは特に若い先生は感じてしまうものではないかなあ、と。