7月23日のゼミ日誌(第3期)

今回の日誌当番は山本さんです。

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今回は4回目の発表でした。

初めに、上岡さんの「『高慢と偏見』と『マンスフィールド・パーク』について」という発表がありました。『マンスフィールド・パーク』に登場する主人公であるファニーは、内気で無口、また真面目な性格で、『高慢と偏見』のエリザベスとは真逆なヒロインでした。真面目で清く正しいヒロインは、だいたい危険な目に合うのが一般的なドラマであり、ファニーのように真面目に生きて特に危険もなく幸せになるというストーリーは珍しく、オースティン特有のアイロニーがあまり描かれていないようでした。

発表中に引用されていた、「女性はみんなこう思っているはずです。みんながすばらしいと思っている男性からプロポーズされても、それを断る女性がいるかもしれないし、どうしてもその男性を好きになれない女性がいるかもしれないって。突然彼にプロポーズをされたからといって、どうして私が、すぐに彼の気持ちに合わせて『はい』と言えるでしょう?そんなことは無理です。女性は男性の愛情にすぐに答えられると思っているなら、女性についての考え方が、私とぜんぜん違うと思います」というファニーの言葉には、当時の自由がなく厳しい立場におかれていた女性の声がよく表れていると思いました。また、性格面ではエリザベスと真逆であるファニーですが、このセリフは、『高慢と偏見』でエリザベスがコリンズ氏の愛のない求婚を断るセリフと少し重なって感じました。

二つ目の発表は川口さんで、テーマは「ヒロインの成長についてー『高慢と偏見』『ノーサンガー・アベイ』」でした。二つの作品の中で、エリザベスとキャサリンの成長の過程がよく分かりました。『ノーサンガー・アベイ』のヒロインであるキャサリンは、ゴシック小説が好きで、自身の人生をまるでゴシック小説のヒロインであるかのように考えていました。そのため、現実世界にゴシック小説の感覚を当てはめてしまいがちでした。

物語中、エリザベスは第一印象により、ダーシー氏を嫌いウィッカム氏に好感を持ちますがその様子は変化していき、自身の愚かさを認め精神的成長を遂げます。キャサリンはあるとき失態を犯してしまい、それをきっかけに自身を改めていき、良識ある社会の一員へと変容していきます。

どちらの発表も、『高慢と偏見』ともう一つの作品のヒロインを比較していて、面白かったです。私はまだ『マンスフィールド・パーク』と『ノーサンガー・アベイ』を読んだことがないので、読んで自身でも比較をしてみたいと思いました。

来週の月曜日は初めての懇親会ですね。楽しみましょう。

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先日の発表では『分別と多感』がかなり出てきましたが、オースティンの他の作品も面白いので、ぜひ夏休みに読んでみましょう。月曜日は私も楽しみにしています。