11月13日のゼミ日誌(第2期)

今回の日誌当番は森下さんです。

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前回に引き続き、今回もNLMG②の発表です。今回の発表者は菅野さん、藤本さん、矢野さん、石浜さんです。

・菅野さん「Lies and Deceit〜嘘と詐欺の境界線とは?〜」
相手を思いやってつく善い嘘をLies、相手を欺き騙して傷つける悪い嘘をDeceitと定義付け、子供時代から事実を知りすぎることが子供たちにとってよいことなのか?また、キャシーとトミーは事実を知ってよかったと思っているのか?という2点について発表してくれました。
たしかに、相手を思った優しい嘘をつかねばならないときもあります。しかし、子供であっても、自分に関わる事実については知る権利があり、事実を伝えることが本当の優しさなのではないかなと考えさせられました。

・藤本さん「Never Let Me Go と My Sister's Keeper
2作品の共通点と相違点について発表してくれました。共通点は、自分は誰かのための体の一部であり、移植を目的に生まれてきたという点と、提供を繰り返し、ボロボロになる、したいことができなくなるという点、相違点は、家族の存在の有無と、誰のために提供するのか、という点があると挙げていました。『私の中のあなた』では、主人公が姉の同種異形のドナーとして生きる人生を両親に決められて誕生し、家族は一番近い存在なだけあって残酷すぎると思いました。2作品の違いとして、家族に提供する方が幸せなのか、全く知らない人に提供する方が良いのか、考えてしまいました。

・矢野さん「Never Let Me Goとイシグロの”日本”らしさ」
イシグロは記憶をテーマに多くの作品を描いており、イシグロにとって日本は特別な位置を占めているという発表でした。幼少期の記憶はいつになっても残っているもので、自分の中に大切にあり続けるものです。イシグロはその記憶を作品の中に残しておきたかったのだと思いました。

・石浜さん「カズオ・イシグロと子ども時代の郷愁」
イシグロの小説の書き方、イシグロにとっての日本、作中における子ども時代の記憶の反映という3つの事柄について発表してくれました。イシグロにとって日本は幼少期のわずかな記憶しかなかったけれど、それは自分だけの大切な記憶であり、日本への想いが強くあったからこそ、日本の記憶を作品に残しつづけているのだと思いました。

今回のみなさんの発表も興味深いものばかりでした。次回の発表もとても楽しみです。

===ここまで===

NLMGは予測もしていなかった意見やコメントが出されて、そのどれも今日も深く思います。藤本さんが取り上げたMy Sister's Keeperもそうなのですが、クローンやその人間性、生きる意味など、現代的なテーマなのでしょうね。考えさせられます。