1月7日4限目のゼミ日誌(第3期)

今回の日誌当番は山本さんです。

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今日は、4限に補講がありました。
授業内容は3限に引き続き、『ピグマリオン』の発表をしました。

一組目は、小西さんで「『ピグマリオン』と『人形の家』」の発表でした。二つの作品には共通点が三つありました。ヘルメルとヒギンズはヒロイン達の中身を見ていないこと、イライザ、ノーラは自分の意思で自立した女性として歩み出すこと、ヒロインたちが出て行って初めて彼女たちの価値にきづくことです。当時の理想とされる女性は男性にいいように使われてしまい、イライザも研究対象としてしか見られていませんでした。イプセンとショーによって男性に従うだけでなく自分の意思で動く自立した女性へと描かれていることが分かりました。

二組目は、私と本山さんの発表で、「ピグマリオン神話から派生したことば」でした。人間は期待された通りの成果を出す傾向があるピグマリオン効果と人形を愛するピグマリオン・コンプレックスについて発表しました。神話はいい意味とよくない意味での解釈ができると思います。そのためピグマリオン神話からポジティブな言葉とネガティブな言葉が派生しています。小西さんの発表でもありましたが、私たちもイプセンとショーによって、女性の自立が描かれていると考えています。

最後は、船井さんの発表で「言語と階級について」でした。イライザが映画の中で何度も”How do you do?”と言っていてこのあいさつはあまり聞きなれず、”Nice to meet you.”じゃないのかな?と気になっていたのですが階級によってあいさつが異なることを知り、納得しました。イライザは言葉で階級を乗り越えられたように思えていましたが、実際にはレディの振りができていただけだったことが分かりました。「イギリスでは話す英語のアクセントが話し手の一番分かりやすいインジケーターである」という表現がとても分かりやすかったです。

授業の最後に、イライザがヒギンズから正しい話し方と振る舞いを学んだことはよかったのかという議論をしました。私はよかったのではないかと考えましたが、意見は分かれ様々な意見が出ました。イライザはレディとしては立派になったけど、自分を見失ってしまいました。共に生活していた人たちからもイライザだと気づいてもらえないようになってしまいました。

私は、イライザがヒギンズに対して何が自分のものなのか分からないと言って指輪を返そうとしてヒギンズを怒らせる場面はイライザの皮肉だと思っていました。でも、イライザは本当に何が自分のものか、自分が何なのか分からなくなるほどアイデンティティをなくしていたのだと今日の授業で気づきました。いろんな意見を聞いていて、よかったとも悪かったとも言い切れないと思うようになりました。

ピグマリオン』の発表を通して、様々な視点からこの作品を学ぶことができました。

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ピグマリオン』の発表は今回で一通り終わりです。卒業研究で『ピグマリオン』を取り上げようと思っている方もいるようで、発表された内容も考慮しながら、あれこれ構想を練ってください。他の作品を考えている人にも、参考になるポイントがあったのではないかと思います。