1月14日のゼミ日誌(第2期)

一つ前の記事と同じく14日の合同ゼミの日誌ですが、こちらは第2期生(現4回生)の分です。

当番は、長坂さん、浪本さん、藤本さんで、まとめ役は長坂さんです。長坂さんが羽藤さんの発表、浪本さんが大井さんの発表、藤本さんが内藤さんの発表を担当しています。

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羽藤さんの卒業研究発表テーマは「ガヴァネスと『ジェイン・エア』」です。第一章ではがヴァネスの起源から摂政時代までの歴史が述べられていました。ジェイン・エアヴィクトリア朝時代の小説なので、特にその時代のガヴァネスについて言及されていました。父親が娘を王室付きのガヴァネスにしようとするほど影響力を持った時代もあったそうですが、ヴィクトリア時代のガヴァネスはレディとして唯一認められる職業という他にも辛い実態があったそうです。そのことが第二章から第三章までに述べられていました。そして第四章で『ジェイン・エア』の中でガヴァネスとして働くジェインについて触れ、彼女のセリフからガヴァネスが奉公先の屋敷で中途半端な立場であったのかを読み取ることができます。また、中流階級や上流階級から見たガヴァネスがどのようなものであったのか読み取ることができるイングラム嬢らのセリフを引用していました。

ジェイン・エア』は別の授業で読んで、ガヴァネスについての知識は少しあったのですけれど、その起源や、昔は影響力を持っていた存在であったというような深い知識はありませんでした。なので、イギリスにおけるガヴァネスの歴史はかなり長いものなのだと感じました。羽藤さんの発表を聞いたことで、これから『ジェイン・エア』以外にガヴァネスの職に就いている女性が出てくる小説を読むときにはそのような歴史や背景を気にしながら読んでいくと、より深く物語や登場人物を理解出来るのではないかと思いました。



大井さんのテーマは「『テス』における自然描写」です。はじめに発表のキーワードである自然について定義され、その定義を元に副題「*A Pure Woman*」に込められた自然、ウェセックスと自然、作家、登場人物、とそれぞれに通じて存在している自然について述べられていました。運命という自然、テスの母親の口癖でもある「こうなる定め」の世界、人間の欲求や感情そして慣習など、以上の3点を自然の定義として発表されていました。

実は私は『テス』の映画を観てテスのあまりにも辛い運命にやりきれなさを感じていました。ですが今回の発表でハーディが織り成す人間模様について、あらゆる自然から物語を深く読み取ることができるのだと知りました。小説は読んでいないので、テスに感情移入してしまうのではなくハーディの文体やその他の登場人物に注目して読みたいと思いました。そして映画でのアレックは心底酷い男性と強調し表現されていたように感じたので、アレックにおける人間の持つ「自然」を読み取りたいです。



内藤さんの発表テーマは「ハリーポッターに見る社会問題−人種、女性、その他の諸問題−」です。ハリーポッターは世界中で大人気の児童文学でご存知の方がほとんどだと思いますが、今回はファンタジーに満ち溢れたハリーポッターの世界に潜む現実的な社会問題を発表してくれました。第一章では人種、差別問題として、人狼、屋敷しもべ妖精、小鬼、半巨人を挙げて紹介してくれました。また、アジア系やアフリカ系の活躍するキャラクターを生み出し、グローバル性をさらに強調する作品となっています。また混血、貧困についての偏見は現代の社会でも完全になくなっていませんし、移住やホームレスなどさまざまな問題がころがっています。

第二章では女性に着目。メローピは少し弱いキャラクターとして書かれていますが、芯の強さを持った女性キャラクターが多いと改めて感じました。とくに序盤のハリーやロンは幼さを持っていて、気の弱いところもあり、ハーマイオニーがひっぱっていく姿が爽快でしたね。女性も強いという、女性差別の社会から女性進出の社会への変化の訴えかけもあるのかもしれません。

第三章では戦争や、同性愛について取り上げてくれました。ディビットコパフィールドの例(スティアフォースにデイジーと呼ばれる)を用いていたのに納得しました。

最後は、JKRはファンタジーという一つのツールを通して社会の闇や問題を子供達に訴えたいのではないかというまとめでしめてくれました。
ハリーポッターはJKRが娘のために書き始めたという記事を見たことがありますが、世界中で見ている多くの子供たちが成長するにつれて、ファンタジーの奥の社会問題に気づき、思考できる大人に成長してくれることがJKRの願いなのだろうと感じた内藤さんの発表でした。

===ここまで===

今回はバラエティに富んだ内容の発表でした。こういう切り口もあるんだ、と3回生にいい刺激を与えてくれたと思います。