1月21日のゼミ日誌(第3期)

今回も、1月14日に続き、3回生(第3期)と4回生(第2期)の合同ゼミでした。3回生の日誌当番は阿部さんです。

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4回生の卒業研究の発表を聞きました。
長坂さんは、人間らしい異質なものたちというタイトルで『フランケンシュタイン』、『素晴らしい新世界』、『わたしを離さないで』のSF小説3作品から登場人物を取り上げていました。
1章の『フランケンシュタイン』では、生みの親であるが、怪物の存在を否定している博士。博士が親であり、唯一のつながりのある人間の怪物。この2つの存在について触れておりました。ド・ラセー一家から人間の言語や知識、様々な感情を学びとっており、人間に憧れているが、その都度自分が人間とは違う存在と思い知らされ、自分だけが幸せになろうとする博士に復讐を始めます。
2章の『素晴らしい新世界』では、文明世界についてでした。ジョンとリンダは文明世界の常識では考えられない親子関係にあります。文明世界のことをリンダから、また、生き方を未開の住人から学びます。バーナードは文明世界では親子が存在せず、彼に親はいません。刷り込みによる学習をしています。文明世界とは、すべて管理された完璧な世界であり、文明人とは母親とあってはならないものであると言及されていました。
3章の『わたしを離さないで』では、クローンについて言及しており、クローンたちの生き方、恋愛について触れていました。
紹介された3つの小説はそれぞれ時代の変化にあっており、技術の発明などと一致しているように感じました。

藤本さんは『Never Let Me Goに隠された母性性』についての発表でした。私は母性と母性性とは何が違うのか疑問に思い、調べてみました。まず母性とは、女性がもっているといわれている、母親としての性質。次に母性性とは、男女問わず備わっている、包み込む・安心・安らぎなどの母性的なもの、です。
一章では、主人公キャシーの行動分析をし、母性性と関連づけていました。1.枕を抱いて踊る。 2.コテージ生活を始め、自分の抑えきれない性衝動への不安と悩みを感じる 3.自分のオリジナルが気になる、ポルノ雑誌からオリジナルを探す、この3つのキャシーの行動すべてが母性性を表していると言及していました。
二章では母性性的表現の多様です。
キャシーが海に例えているところの引用では、水は生命の基本であり、海はすべての生命が生まれ、帰る神秘的な場所であると言及していました。また、ルースの水の夢をみたが恐怖を感じていなかった、というところでは、水の夢をみることは出産に繋がり、恐怖を感じなかったのは水を母性性の水、つまり羊水として認識しているからである、と発表されていました。
三章では、ヘールシャムと子宮で、引用からヘールシャムの行動が子宮に似ていると言及していました。
それぞれの行動や言葉から母性、母性性を感じ取ることができると知り、Never Let Me Goを様々な視点から読んでみたいと思いました。

最後に浪本さんの発表で、『Never Let Me Goにおける情操教育』です。
一章では、人間の心は理性と感性にわけることができる、感じることが行動に伴っていく動因を4つの刺激による感情とともに知的または意志的な観念が働き、持続的かつ内心的な感情の反応を言及していました。
二章の絵を描くとは、では、感性を磨き、生きることについて考えること。手段としての絵。それは猶予期間を得るための手段であったり、クローンの存在を人間に理解してもらい、学校の寄付金を集める手段であったります。
三章ではヘールシャムとクローンたちというタイトルでした。ヘールシャムの教育は洗脳的であると述べていました。相手がクローン、人間が提供者、大人が保護管であり、ヘールシャムの生徒たちは教育内容や意義をはっきりとは理解していません。生徒たちは保護官から、クローンでありいずれ提供を行うという運命を認めさせ、クローンとして生きていくことを学びました。ヘールシャム出身ということをクローン同士の世界でも意識せざるを得ないほど、ヘールシャムの存在は大きいのです。ヘールシャム出身以外のクローンは、将来待ち受けている提供に対する不安な気持ちを、教育で自分自身を慰め、心を落ち着かせ安定させようとしていました。一方でヘールシャムの生徒は教育に対する執着心や、臓器を奪われても記憶は奪うことはできない、など記憶について学んでいました。
人間の立場からみるとクローンはあってはならないと思いました。絵を描くとこで手段を伝えたり、生きることについて考えることができるなど、発見がありました。

4回生の発表を聞き、自分が来年、卒業研究をどのようにしたらいいのか大変参考になりました。みなさんNever Let Me Goについて発表されており、私も読んでみたいと思いました。

===ここまで===

今回はNever Let Me Goについて、または、この作品を含む卒業研究の発表をしてもらいました。私は最初に読んだときはショックで、映画もなかなか観ることができませんでしたが、いろいろと考えさせられる小説です。3回生のみなさんにもぜひ読んでいただきたいです。