4月23日のゼミ日誌(第3期)

今回の日誌当番は川口さんです。

===ここから===

今回は、『不思議の国のアリス』と『秘密の花園』についての考察に本格的に取りかかり始めました。どちらの作品も今までに学んだ作品とは異なる展開で、興味深い物語です。

まず2限目は、『不思議の国のアリス』の1、2章について信清さんのレジュメをもとに考察していきました。特に「子供らしさ」について注目しましたが、アリスは子供っぽい一面も大人っぽい一面も持ち合わせているように思いました。She sat down and began to cry again. “You ought to be ashamed of
yourself,” said Alice, “a great girl like you,” (she might well say this), “to
go on crying in this way! Stop this moment, I tell you!”
という場面では、泣いてしまっている子供らしいふとした一面がありつつも、自分自身に説教をする大人っぽいアリスが見られています。先生がおっしゃっていた、「ある程度身体が落ち着くまでの象徴とも言われている」ということに関して、アリスは年齢的にはまだまだ幼いのですが、成長物語として、大人と子供の間にいるような印象を受けました。また、地下が物語の舞台となっている理由について、「地下は宝物の宝庫」、「当時は地質学が発達していた」ということにとても納得しました。庭については、「他の世界を見てみたい」という意見が出ましたが、確かにそうではないだろうかと私も思います。『不思議の国のアリス』に限らず、今までみてきた作品においても庭の役割はそういったものだと
感じました。

3限目は、『秘密の花園』の1〜4章まで、私のレジュメをもとに考察していきました。『秘密の花園』は全体的にヒロインであるメアリの成長や変化の物語という印象です。ですが、今回の講義でインド社会の歴史や、そういったところから読み取れる作者バーネットの考えも重要な背景として描かれていると分かりました。she began to feel a slight interest in Dickon, and as she had never
before been interested in any one but herself, it was the dawning of a healthy
sentiment. この部分では、メアリがディコンに興味を持ち、自分以外の人間に初めてそういった感情を抱いた場面ですが、それとは対照的にこの場面にいたるまでに描かれてきたインド人召使たちは人間らしく描かれていません。不健康であり、非人間的であるということが彼らのイメージとなってしまっています。この明らかなイギリスとインドの優劣の置かれ方についてはもっと注目していきたいと思いました。特に『秘密の花園』は、今まで学んできた階級などの社会背景を多く含んでいるのでそこにも注目したいです。

両作品ともに描かれている「子供観」には相違があると思うので、比較して考察していきたいと思いました。

===ここまで===

川口さん、レジュメ当番と日誌当番の両方、おつかれさまでした。使用するのは児童文学に分類される作品ですが、大人の目で鋭く分析していきましょう。