5月28日のゼミ日誌(第3期)

今回の日誌当番は檜垣さんです。

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今回の『不思議の国のアリス』の担当は、徳永さんと私で、『秘密の花園』の担当は、山本さんでした。

不思議の国のアリス』について、物語の最終面では、アリスは不思議の国での自分の体の変化や、周りのおかしなやり取りに慣れて少し諦めて見ているようになっています。そして、夢から目覚めたアリスに対するお姉さんの語りの部分では、So she sat on, with closed eyes, and half believed herself in Wonderland though she knew she had but to open them again, and all would change to dull reality -(P110L1)の様に、大人であるお姉さんと子どものアリスの対比が描かれており、大人と子どもの見え方の違いについて話し合いました。

純粋な目線の子どもと、現実を知っている大人の違いという意見が多くあり、その中で、矢次先生の仰った、子どもから見た不思議の国は現実と非現実がごちゃごちゃになった世界で、アリスから見た大人の世界ではないのかという考え方が印象に残りました。不思議の国で現実的な判断が出来るようになったアリスが夢から目覚める、というのは、大人の世界を受け入れざるをえなくなったということで、アリスの成長物語でもあるのかもしれないと思いました。


秘密の花園』では、子ども達が幸せな結末を迎え、その結末について話し合い、全てが上手くいきすぎなのではないかという意見が出ました。否定的な感想もたくさん出ましたが、それでは、どうして読み継がれている人気作品なのかを考察していきました。理由としては、話の流れがスムーズで誰でも読みやすい、分かり易さ、二つの作品に言えることでは『秘密の〜』『不思議の〜』の様に、読者に読んでみたいという興味をもたせるタイトルがあげられました。

また、閉じられた空間内でのできごと、広いお屋敷内の囲まれた庭や穴という、一種の暗さを感じさせる設定やそこから派生する想像そのものが、熱狂的なファンの人にはたまらないのではないかという意見もありました。私自身も、暗さや秘密がある物語を探っていく方が読みがいがありますし、確かに『アリスの夢』『素敵な花園』などではいまいち深みが出ないと思います。子どもの頃に読んでいた物語を読み返してみて、このように大人が新しい発見をできる所もこれらの作品の魅力だと感じました。

今回で、両作品共に全体の考察が終了です。
次回は『秘密の花園』の映画の続き、『不思議の国のアリス』についての映像資料を見ていきます。

===ここまで===

『アリス』は最後にお姉さんの視点からアリスの冒険の総括がなされているのが興味深かったですね。『アリス』もそうですが、『秘密の花園』には子供と大人それぞれの想像力を刺激する要素がいろいろあって、それが読み継がれている理由でしょうね。