2017年1月11日前半のゼミ日誌

今回の日誌当番は星加さんです。

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1月11日の4限目に行われた『Never Let Me Go』のプレゼンを発表順にまとめていきたいと思います。

カズオ・イシグロについて」 井元さん・上岡さん
後半のゼミで利用した『Never Let Me Go』の作者、カズオ・イシグロさんについてまとめていました。氏は長崎県で生まれましたが、父親の仕事の都合で5歳で渡英し、そのままイギリスで過ごします。自分が「日本語がわからない日本人」であることに悩みましたが、1982年にイギリスに帰化しました。出生地である長崎を想いながら育ち、「理想の長崎」を描いた作品もあるそうなので機会があれば読んでみたいと思います。
氏が作品を通して伝えたかったのは「短い人生の中で、なにが大切なのか」「過去と向き合うことの大切さ」。このメッセージを受け止めて今後の人生について考えていきたいです。

カズオ・イシグロが伝えたかったこと」 藤井さん・横垣さん
この作品ではキャシー・トミー・ルースの複雑な三角関係が見どころの一つだと思います。トミーとルースの恋人関係を時に腹を立てながら見守るキャシー、本当はキャシーが好きなのにルースを見捨てられないトミー、キャシーとトミーが両想いなことに気付きながらも2人に置いて行かれたくなくてトミーと付き合うルース。真の恋人同士なら猶予が与えられるという噂に振り回される3人には心が痛みました。
 ヘールシャムでは毎週のように健康診断があります。生徒の健康を保つためだけでなく、クローン人間のデータを集めているようにも見えます。生徒と保護官以外では決まった人間しか訪れない辺り、隔離施設という言葉がぴったりです。
人間から見たクローンは不気味なものらしく、ルースは「わたしたちの正体がわかってたら、あの人、あんなふうに話しかけれくれたかしら」と絵画や画家について丁寧に説明してくれた銀髪の女性の態度は変化するだろうと語ります。もし私がクローンと出会ったら、初めは面白いと感じても徐々に不気味に感じると思います。一方、クローンから見た人間は自分のポシブルかもしれなかったり、素敵なオフィスで働いていたりと憧れの存在のようです。

「NLMGの環境描写と人物の心理」 顧さん
 顧さんのプレゼンで初めて気が付きましたが、この作品では環境描写・心理描写がとてもはっきりしています。語り手であるキャシーの心理描写はもちろん、人物の心理を表したり結果や後のストーリーを示唆することに役立っています。少ししつこいくらいの描写もなかにはありますが、キャシー視点だからと思うと難なく読み進めることができます。後に何か事件が起こりそうな時の天気の描写も、キャシーが何か不安を感じ取っていただと読み返した時に思わされました。もしこれがキャシーの一人称視点ではなく三人称視点だったならこういった描写はくどいものとなっていたかもしれません。

今回のプレゼンでは登場人物ではなく、作者カズオ・イシグロ氏について・氏の技法についてのプレゼンが多かったように思います。作者を通して読み返すと作品の表情が一変してとても面白いです。

自分の実際の当番から二週間ほど遅れてしまいました、すみません。皆さん体調には気を付けてくださいね!

===ここまで===

そうそう、体調には気を付けましょう。そういう私は鼻炎から風邪に…。現在回復中です。