【第4期】2017年6月1日のゼミ日誌

今回の日誌当番は横井くんです。

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6月1日のゼミでは、『大いなる遺産』の20章から27章までを読み進めました。

 ロンドンへと赴いたピップはジャガーズに会い、彼の事務員のウェミックに連れられてバーナーズ・インへと案内されます。バーナーズ・インでは、昔にミス・ハヴィシャムの屋敷でボクシングをした青白い紳士に再会します。彼の名前はハーバート・ポケットといい、ピップと一緒に暮らすことになります。その後、ピップはミス・ハヴィシャムの婚約者に捨てられた過去を知ったり、ポケット(ハーバートの父)の自宅にも招待されたりします。ピップは、ポケットとハーバートの協力の下勉強をし、長足の進歩を遂げます。一方で、ロンドンに住むようになり、環境が変わったピップは多くの額を散財するようになります。ある時、ピップはウェミックに手紙を書き、彼の家まで歩いていくことにします。ウェミックの自宅はお城の様にしつらえられており、非常に凝ったものでした。ピップはウェミックと一緒にジャガーズの事務所に行きます。そして、ジャガーズの家で食事をとりますが、ジャガーズは彼の家政婦のモリーの傷が残っている手首を見せ、彼女の手首を絶賛します。ある時、ピップはジョーがロンドンに来るという内容の手紙を受け取ります。ピップのところに来たジョーでしたが、彼はピップに対して、どこかぎこちない敬語で話します。ピップはジョーの訪問に対して、嬉しくはない心情を抱いていましたが、ジョーからエステラがピップに会いたがっているということを聞いた時、初めから知っていたら好意的にふるまっていたのに、と思います。宿を出て行ったジョーをピップは追いかけようとしますが、ジョーの姿はありませんでした。
 以上があらすじです。

 ピップはロンドンに来てから多くの人に会い、新しい経験をします。中々一筋縄ではいかない人間ばかりですが、僕は中でもウェッミックがお気に入りです。彼の印象は、I found him to be a dry man, rather short in stature, with a square wooden face, whose expression seemed to have been imperfectly chipped out with a dull-edged chisel.(P.171 l.14-17) とあるように、どこかくたびれたような印象なのですが、ひとたび自宅に帰れば非常に饒舌になり、ピップを歓待します。僕にとって、ウェミックはどこか憎めない人間であり、彼の人物像は中々一言で表しにくいように思います。と同時に、後々の物語においても、かなりピップと関わりのある立ち位置なのでとても興味深いです。

6月1日に学んだ章では大きな展開はなかったように思われますが、後々の伏線などがところどころ張られており、しっかり読みこなしていかなければならないと感じました。ジャガーズの女中のモリ―や、ウェッミックのセリフにIt brushes the Newgate cobwebs away(P.207 l.26)とあるのですが、これは32章におけるピップとウェッミックのニューゲイト監獄への訪問と繋がっている様な気がします。また、ロンドンに来てからのピップの変容も注目に値すると思います。散在するようになったことや、ジョーへの態度等々です。今後のピップがどのように成長していくのか、ゼミの中でゼミ仲間たちとしっかり分析していけたらと思います。

===ここまで===

小説のクライマックスに向けて様々な伏線が見え隠れしてきました。ウェミックさんの役割も興味深いですね。