【第4期】2017年7月13日のゼミ日誌

今回の日誌当番は上岡さんです。

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7月13日のゼミは先週に引き続き『大いなる遺産』のプレゼン発表をしました。

1つ目は三河さんの『大いなる遺産』における監獄についての発表でした。スミスフィールドからニューゲイト監獄にピップが向かう場面を私は読むだけでその背景を深く知らなかったので、重罪犯や債務者を収容していたことや、殺された家畜の内臓や血が排水溝に流されていたことを三河さんの発表で知り、ディケンズがそのシーンに重々しい不気味な雰囲気を出そうとしていたことがわかりました。また、サティスハウスはその家を所有するものは誰であろうと、それ以外のものは何も望んではならないという意味を表すということが面白いと思いました。私も今回の発表でディケンズの幼少期についてしらべたので、債務者監獄や靴墨工場での労働が作品に反映されていると思いました。

2つ目の発表は伊藤さんの『大いなる遺産』における紳士についての発表でした。gentlemanの語源はgentilhomeからきていて良家という意味から派生したことを初めて知りました。イギリスにおける紳士はその生まれとは別に誠実、慈愛、自由、勇気の4つのうちの2つを欠くものは紳士とは呼べないという家柄とは別にパーソナルな部分も重要になってくるそうです。また、現代の紳士は振る舞いが紳士的であればだれでも紳士になれるそうで、紳士と呼べる人は増えているのではないかと思いました。先生が最後のまとめでウィンブルドンのボールボーイはアルバイトではなく紳士になる為の勉強をしているという話を聞いてから、テレビで彼らを注目してみるようになりました。立ち姿や無駄のない動きを見て、確かに紳士的な行動の勉強になりそうだなと感心して見ました。

最後の発表は星加さんの『大いなる遺産』とヴィクトリア朝批判の発表でした。ディケンズ文学の特質として『荒涼館』は社会全体の腐敗、『オリバー・トゥイスト』は救貧院での問題を物語の中にあげて当時の社会を批判しているという内容でした。『大いなる遺産』の中でもヴィクトリア朝の金銭至上主義がありピップが遺産を手に入れる前と手に入れた後で身内や他人からどのような扱いの変化が生まれたかの発表があり、その違いを感じることができました。いつの時代もお金は生活の大きな割合を占める為多かれ少なかれこのような他者の態度の違いはあると思いますが、ヴィクトリア朝の時代はひどかったのではないのかなと思いました。

3つの発表のなかでも三河さんの発表のand please what’s Hulks?" said I."That's the way with this boy!" exclaimed my sister, pointing me out with her needle and thread, and shaking her head at me. "Answer him one question, and he'll ask you dozen directly. Hulk are prison-ships, right 'cross th' meshes"という引用からピップが監獄船について知りたいと思う場面をみて何かにとらわれているように感じることができました。

『大いなる遺産』の発表は今回で終わりましたが、みんな様々な視点から作品を読んで発表していたので聞いていて新しい発見をすることができてよかったです。前期のゼミは終わりしたが後期も卒業研究と並行して作品を読み進めていきたいと思います。

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それぞれの発表に対する十分な議論が、時間の関係でできなかったのが残念でした。それにしても、読み応えのある作品でしたね。まだまだ論点がありそうです。発表をもとにした、みなさんのレポートも楽しみです。