【第5期】2018年5月31日のゼミ日誌

今回の日誌当番は、前田くんです。

===ここから===

前回、私の発表の途中で授業が終わってしまったため、私のレジュメの途中からスタートしました。

ダーリントン・ホールでの国際会議が近づく中、スティーブンスとミス・ケントンが諍いを起こしますが、ミス・ケントンはかつてスティーブンスに親切心を反故にされたことがありました。これらの諍いはこの場面が発端という見方もでき、更にはミス・ケントンがスティーブンスに特別な感情を持っていたかも知れないと推察出来ました。

その後、スティーブンはダーリントン卿から、レジナルドに釤The fact of life" つまり生命の神秘を教えてほしいと依頼されます。この場面は私も正直混乱しましたが、後の国際会議の場面へいくまでの、物語における一呼吸の役割を果たしているのだとわかりました。

次は村上さんが担当しました。
いよいよ国際会議が始まり、ダーリントン卿はデュポンを何とかイギリス側に引き込もうと努めますが、ルーイスに阻まれます。およそこの辺りから、各国の根回しが始まります。

その間スティーブンスは、会議が円滑に進むように仕事に励んでいた最中、またもや父親のウィリアムが倒れたという報告を受けます。

''He had dropped down on to one knee and with head bowed seemed to be pushing at the trolley before him, which for some reason had taken on an obstinate immobility.''

ティーブンスは胸中穏やかでは決して無かったと思いますが、父親の看病に時間を割いている場合ではありませんでした。この後の医者の話からも、ウィリアムは遠からず亡くなるという事が伺えます。

次は矢原さんが担当しました。
ここでも、ウィリアムの容態の変化と、会議の様子が同時に進行していきます。ウィリアムはいよいよ自分の死を悟ったのか、スティーブンスに次のように言います。

"I hope I've been a good father to you"
"I'm proud of you. A good son. I hope I've been a good father to you. I suppose I haven't."

恐らくこのダーリントン・ホールで親子で働く中で、仕事で話す機会はあっても個人的に親子として話す機会は殆ど無かったと思います。
そんなウィリアムが最期にこのような事をいうのは、きっとスティーブンスと親子らしい会話をしたかったのではないかと思います。しかしスティーブンスは、あくまでも冷静な対応をしました。

一方で会議も白熱しておりました。いきなりデュポンがテーブルを叩き、問題の改善に努める事を約束するとともに、ルーイスを激しく糾弾します。
そしてルーイスはダーリントン卿を含む紳士達を「アマチュア」と呼び、侮辱とも取れる発言をしました。しかしダーリントン卿はルーイスのいう「プロ」は要らないと明言し、一同はこれに賛同します。

この場面ではルーイスの化けの皮が剥がれる展開となります。しかし人に対して尽くさなければならないというイギリス紳士の高貴なる本能を示したダーリントン卿側に軍配が上がります。しかし現代では、ルーイスのいう「プロ」のあり方が主流になってしまっているのかなと感じました。

次は松浦さんが担当しました。
ここでは思いが一つとなったダーリントン卿とその他の紳士達の盛り上がりの一方で、ウィリアムが息を引き取ります。
ティーブンスはその事を知りながら職務に戻りますが、流石に感情を殺しきれず、表情に出てしまいました。しかしそれでも職務を全うし、のちにスティーブンスは感情に流されなかった自分を誇らしく思っています。

実は私はウィリアムが倒れてからの一連のスティーブンスの対応を見て、やや憤りを覚えました。父であり、尊敬する執事であるウィリアムに対し、あまりに残酷な対応だと感じたからです。たしかに、この国際会議は大変な緊張の中で行われ、常に考えていなければならない状況でした。ウィリアムもスティーブンスに職務に集中しろと言ったかも知れません。しかし私は、この対応には少々違和感を覚えました。

国際会議の回想はこの辺りで終わり、スティーブンスの旅に場面が戻ります。今後スティーブンスが旅の中でどのような発見をするのか、楽しみです。

===ここまで===

ティーブンスの個人的事情と、ダーリントン邸で行われている国際会議が並行して進行する緊張感あふれる場面でした。フィクションと歴史が絡み合うところでもあり、読む方としても息が詰まるような感じでしたね。