【第6期】2018年10月3日のゼミ日誌

今回の日誌当番は、樫本さんです。

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今回から『天使も踏むを恐れるところ』の内容に入っていきました。第1章から第2章の途中まで読み進めました。

まず、武田さんが担当のチャリング・クロス駅での場面です。イタリア旅行に出発するリリアとアボット嬢を見送るため、彼女たちの家族が駅に集まっています。“’Quite an ovation,’ she cried, sprawling out of her first-class carriage. 裕福な家のリリアが身分にそぐわない行動を取っていることがわかります。ヘリトン夫人は、ヨークシャーからはるばるやって来たシオボールド夫人の付き添いキングクロフト氏に“And I think it simply noble of you to have brought Mrs Theobald all the way here on such a day as this.” というねぎらいの言葉をかけていますが、”Then, rather hastily, she shook hands, and left him to take Mrs Theobald all the way back.” からわかるように、雑な握手をしていることから本心ではないことが読み取れます。彼のような付き添いのことをシャペロンというそうです。また、フィリップがイタリアに対して少し偏ったイタリア観を持っていることがわかります。

次に、名本さんが担当のリリアの手紙が送られてくる場面です。” ‘Look here, read it, mother, said Harriet, I can’t make head or tail.’ Mrs Herriton took the letter indulgently. ‘What is the difficulty?’ She said after a long pause. ‘What is it that puzzle you in this letter?’ ‘The meaning’ faltered Harriet.” 旅先で婚約したという知らせに、戸惑いを隠せないハリエットと、ただでさえ世間体がよくないのに連絡する順番が違うことへの憤りを隠しきれないヘリトン夫人の様子が描かれています。文学作品や何十年も前の旅行記”Central Italy by Baedeker” からもモンテリアーノを調べようとするなど、的外れなドタバタ具合であったことがわかります。

最後に、浜崎さんが担当のフィリップがモンテリアーノへ向かう場面です。” If Lilia marries him she insults the memory of Charles, she insults Irma, she insults us.” ヘリトン夫人は、リリアの結婚はヘリトン家への侮辱だと考え結婚に反対しています。フィリップは”He had known Miss Abbot for years, and had never had much opinion about her one way or the other.” というように、アボット嬢に対して魅力を感じておらず、平凡な女性だと思っていることがわかります。

いよいよ今回からテキストに入っていきましたが、序盤からリリアの婚約に憤りを隠せないヘリトン夫人の行動など、くすっとしてしまう場面が多々ありました。これから物語を読み進めていくのが楽しみです。

===ここまで===

イギリスとイタリア、リリアとアボット嬢、フィリップとジーノなど等、対比が面白い作品ですね。お上品ぶっているのに、ドタバタして、どうもエレガントになれないヘリトン夫人とハリエットの対比も面白い。じっくり読んでいきましょう。