【第5期】2018年11月8日のゼミブログ

今回の日誌当番は、矢原さんです。

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今回は、『日の名残り』についての発表2日目でした。今日は、羽藤さん、私、松浦さんの順番で発表をしました。
私と、松浦さんの発表テーマがとても似ているので、特にそこの比較などを含めながら考えてみると面白かったです。

まず、羽藤さんが「ユーモア」について着目し、『日の名残り』におけるユーモアというテーマで発表してくれました。
ティーブンスのユーモアに対する姿勢の中で、スティーブンスのジョークはなかなか周りに笑ってもらうことはできず、そこは努力しているのに切ない部分だと感じました。しかし、ユーモアとは?という問いに対して、みんなで出した答えが、
・その人が元々持っている気質
・努力して得られるものというわけではない
という2つでした。
そう見ると、ジョークに大真面目に取り組み、練習しているスティーブンスは少しズレた考え方を持っているように感じました。

次に、私が、ミス・ケントンの言動から読み解くスティーブンスへの想いというテーマで発表しました。
これは、前期に発表した「結婚」というテーマから発展、深掘りして考えたテーマです。
私は、ミス・ケントンはスティーブンスに対して恋愛感情は持っていなかったと考えています。それを証明する根拠をいくつかあげていく中で、ミス・ケントンの手紙に対する、スティーブンスの解釈の仕方と、スティーブンスがかすかに感じていたミス・ケントンからの自分への好意が関連しているのではないかと考察しました。
ティーブンスは、最初は、手紙を読み、ミス・ケントンがダーリントンホールに戻ってきたいと思っていると勘違いしていましたが、旅を進めていくうちに、戻りたいという意思がないことに気づきます。
手紙の解釈に不安を募らせていくスティーブンスの気持ちは、スティーブンスの中で勘違いであったと気づいていく、ミス・ケントンの好意を比喩しているのではないかと考察します。
そして、最後に私が最も重要だと思っているミス・ケントンの「あなたと一緒の人生を」というセリフは、やはり、スティーブンスと結婚していたら…という意味ではないと捉えられます。
結果、私の考えでは、2人の間(特にミス・ケントン)には恋愛感情はなかったということになりました。

ここで、私と反対意見であり、違う視点から似たテーマを見ている、松浦さんの発表です。
自分の発表と見比べながら、納得させられる部分も多く、とても面白かったです。例えば、ミス・ケントンが食器室に花を持っていくシーンで、松浦さんが、「好きでもない人のプライベートにまで侵入していくのか?」と言っていて、とても納得しました。
そして、それを含め3つ、恋愛感情が見える場面を紹介してくれたのですが、まるで少女漫画のようなピュアな恋愛話を聞いているようでワクワクしました。私は、同じ恋愛でも否定する視点から考えているので、とても新鮮でした。
そして、もうひとつ、私はスティーブンスの未来のことは全然考えていなかったのですが、「結婚」という人生を変える大きな出来事が関連してくるので、そこまで考察することもできると思いました。松浦さんは、執事としてのスティーブンスの幸せと、1人の人間としてのスティーブンスの幸せを考察していて、私の、恋愛感情がないパターンでも、スティーブンスの未来を考察してみたいと思います。

発表が終わり、先生からの2人に恋愛感情はあったか、なかったかという問いに対して、私たちのクラスでは、半分ずつくらいの意見でした。
そこで、先生が仰った、「ミス・ケントンは恋愛感情はスティーブンスになかったけど、結婚相手としてスティーブンスを見ていたのではないか」という答えにとてもハッとさせられました。
様々な意見があり、はっきりとした正解はないものの、私は、「結婚=好きな相手」というイメージしかなかったからです。まだまだ、物語を読み解く力をつけていきたいと思えました。

日の名残り』の授業は今回で終了し、次回からは、卒業研究の直しに入ります。みんなと協力しあいながら、早く卒業研究を完成させたいです。頑張ります。

===ここまで===

ゼミの中でも言いましたが、『日の名残り』、予想以上に面白かったですね。残すは卒研…と思うと、既に寂しいです。