【第5期】卒業研究進捗状況発表会予定
予定は以下の通りです。やり方は既にお知らせした通りです。人数分のレジュメの準備等をよろしくお願いします。
※ 9月27日と10月4日のどちらかに不都合がある人は(割り当てられた日であってもなくても、どちらでも)は今週中にお知らせください。
※ 日程を変更する場合は、9月24日(月)の正午までにブログ上でお知らせします。必ず確認してください。
9月27日
『高慢と偏見』におけるスノビズム(羽藤)
『クリスマス・キャロル』と『鐘の音』から読み解く"Hungry Forties"(矢原)
「ジェイン・エア」からみる女性の自己実現(松浦)
『ジェイン・エア』における女性の抵抗・反抗について(村上)
10月4日
『ジェイン・エア』の映像作品から見る解釈(前田)
『荒涼館』におけるエスタの家政について(横井)
アガサ・クリスティーが、ウェストマコット名義の作品で描いた『砂漠瞑想』について(石田)
【第5期】2018年7月19日・26日のゼミ日誌
19日と26日は『日の名残り』についての第1回目の発表をしてもらいました。が、私が日誌のお願いを忘れていたので、全員に感想を寄せてもらいました。あいうえお順です。
===ここから===
今回の『日の名残り』の発表では、皆が様々な視点から考察をしたり、面白いキーワードを見つけていたりしてとても勉強になりました。この作品は、スティーブンスが信頼できない語り手であるために、事実とは違うことが述べられていたり、語られていない点が多かったりと、難しく想像力が必要な作品だなと改めて感じました。なので、発表を通して皆の考えを聞くことがより有意義になる作品だとも思います。私も次回の発表では、もう少しテーマの焦点を絞って考えてみたいと思います。(石田さん)
『日の名残り』を読んでいく時はスティーブンスのことを、感情をあまり出さない冷めた人だと感じました。しかし、みんなの発表を聞いたことと今回の私の発表について考えていく中で、スティーブンスは感情を隠そうとするところがかえって人間らしいと感じました。また、最後スティーブンスがこれからどうなるのかについてそれぞれよく考えていて、違った意見があり、やはり文学を考察していくのは面白いと思いました。(羽藤さん)
「日の名残り」の特徴として、語り手が信用出来ないという事実があり、テーマを掘り進めるのがとても苦労しました。語りの一つ一つに懐疑的にならざるを得ず、他の発表者も、とても苦労したと思います。スティーブンスが回想する出来事も時期がバラバラで時系列が複雑ですが、そこから見られる現在のスティーブンスの考えも窺い知ることも出来たので、その変化を見るのも面白かったです。次の発表では、別の点からこの作品を掘り下げていきたいと思います。(前田くん)
『日の名残り』というそれぞれで解釈が異なる作品での発表はみんながみんな、それぞれの形での試行錯誤が見て取れる発表だったなと感じました。自分とは全く違う解釈があったり、似た解釈があったりして発表聞いていて、考えさせられることが今までより多かったように感じました。自分の発表も、他の人の発表を聞いて考えなおしたい箇所も出てきたので、レポートを仕上げるときに、もう少し練って仕上げたいと思います。後期では『日の名残り』の映像も観るということなので、また違う視点での『日の名残り』が観られることを楽しみにしています。(松浦さん)
自分では分からなかった視点に気付くことが出来て、とても勉強になりました。特に、いまいち理解出来ていなかった「信頼できない語り手」についてを詳しく知れて良かったです。私はスティーブンスの心理の変化について発表しましたが、あれもこれもと入れてしまうとまとまりが無くなってしまったり、絞りすぎると内容が薄くなってしまったりして、よい発表にしようと試行錯誤するのが大変でした。後期の発表も楽しみです。(村上さん)
前期のまとめでは『日の名残り』について、それぞれが決めたテーマについて発表しました。
一日目は私、矢原、松浦さん、石田さんの発表でした。私は「召使いの結婚について」というテーマで発表したのですが、「スティーブンスとミス・ケントンの関係について」を発表した松浦さんと関連性がとても高く、自分とはまた違った意見を聞くことができ、とても勉強になりました。
石田さんの「人間的温かさ」は、二日目の、村上さん、前田くん、羽藤さんの発表との関連性が高いと思いました。村上さん、前田くんはスティーブンスの心の変化について、それぞれの観点から発表していて、石田さんを含めた三人はスティーブンスの変化を詳しく考察していて、とても面白かったです。羽藤さんは、『日の名残り』を読む上で私たちも感じていた「信用できない語り手」について詳しく発表してくれました。この発表は、他のメンバーみんなの発表と関連性があり、みんながそれぞれ自分の発表内容と一緒に考えるべきところだと思いました。
後期では、更に自分が関心を持てるものを見つけたり、前期で見つけたテーマをもっと深掘りしていくなど、また『日の名残り』を読み解いていきたいです。(矢原さん)
===ここまで===
いい意味で今後の課題が残った第1回発表のように思います。学生最後の夏休みを過ごし、卒業研究を進め、そして、『日の名残り』を振り返って、第2回発表で何が出てくるか、楽しみです。
【第6期】2018年7月25日のゼミ日誌
今回の日誌当番は、宇高さんです。
===ここから===
今回のゼミは、前期最後のゼミでした。後期で読みたい本のプレゼンを、最後の4人が行いました。今回の発表は、小松さんと横田さん『ジキルとハイド』(スティーヴンソン)、宇高『そして誰もいなくなった』(アガサ・クリスティー)、山本さん『動物農場』(ジョージ・オーウェル)でした。プレゼンを一通り終えたあと、後期で読みたい本の投票を行いました。
初めに、小松さんと横田さんがスティーヴンソンの『ジキルとハイド』を紹介してくれました。この話は「人間の二面性」をテーマにしていて、二重人格に苦しんだジキルの心の葛藤が描かれています。この物語はゴシック小説ですが、深く考えさせられるものがありそうだと思いました。また、二重人格ほどではなくても、人間は誰しも「善と悪」や「本音と建前」のような二面性を持っていると思います。私自身、自分でそう感じる時があります。だから、共感を得る部分も多くありそうです。また、横田さんのオススメポイントにあった「登場人物が少ない」は、カタカナの名前を覚えるのが苦手な私にとってはありがたく、さらに読んでみたい気持ちになりました。
次は、私が紹介したアガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』です。これは、島に招かれた10人の男女が何者かによって順番に殺されて行く話で、最後は誰もいなくなります。10人の中に潜む犯人は誰なのか、何が目的なのか、そしてどのようにして殺人を実行したのか、というのが見どころです。私がこの本を紹介したのは、ミステリーが好きで面白かったからなのですが、犯人が全然分からなかったのが悔しくもありました。読んだことがない人には是非読んで貰いたいです。
最後は、山本さんによるジョージ・オーウェルの『動物農場』の紹介です。今までの作品とはひと味違い、人間は一切登場せず、登場するのが全員動物、とゆうのが斬新で面白そうな作品です。動物たちは、それぞれモデルの人物がいて、当時の社会を色濃く反映しているので、当時の社会の様子も掴みやすいと思いました。権力者たちをモデルにして豚に見立てているのが、当時の権力者たちを皮肉っているように感じました。面白さと同時に、ものすごく勉強になりそうでもある作品なので、是非読んでみたいです。
後期で読む作品は、前回の発表で名本さんが紹介してくれた『天使も踏むを恐れるところ』に決定しました。この本は、みんなが紹介してくれた中でも、特に読みたかった作品なので、読むのが楽しみです。夏休み中にしっかり読んで後期のゼミに備えたいと思います。
===ここまで===
『そして誰もいなくなった』を始め、その他の作品については、来年度に読む本の候補として覚えておくことにしましょう。『天使も踏むを恐れるところ』、さっそく生協に注文しました。早く入荷しますように。
【第6期】2018年7月18日のゼミ日誌
今回の日誌当番は、渡辺さんです。
===ここから===
7 月 18 日のゼミは、後期で読みたい作品についての第二回目の発表でした。今回は五名の方がプレゼンをしてくれました。
まずは『オリヴァー・トゥイスト』、こちらは白田さんと浜崎さんの二人が紹介をしてくれました。これは『クリスマス・キャロル』などで知られているチャールズ・ディケンズの作品で、孤児として育てられた主人公、そしてタイトルにもなっているオリヴァー・トゥイストを通し、産業革命期の下層階級の子供たちを描いています。ディケンズの作品は彼の生きてきた経験、境遇が反映されており、当時の”子ども観”を描いたものとしても有名です。そして今回二人の説明を聞き、この作品はオリヴァーが純粋で善良な心を失わないままに人々の愛情に恵まれるという、ある意味作者であるディケンズの理想的な子供となれた少年の物語であるようにも思え、興味を引かれました。彼がそうなっていく経緯、物語はとても気になるところですね。
次は『不思議の国のアリス』でした。私自身、実はアリスの物語を本で読んだことは一度もなく、何となくの知識しかなかったので、今日のあらすじを聞いて初めて知ったこともありました。そして何より、作中に言葉遊び(お伽噺としての「tale」と尻尾の「tail」等)があったり、当時のイギリス英語や文化との関係によって生まれた登場人物や名称があるということに非常に驚きました。実際に存在するイギリスの童謡や詩が作中に登場するということもあり、イギリス文化を楽しく、そして興味をもって学ぶにはとても良いテーマに思えます。
そして『宝島』についてです。二つの架空の島に基づいて描かれた作品ということで、主人公であるジムが財宝を探すための旅に出る、というところが面白そうなストーリーだなと思いました。そして私が特に印象深く思ったのは、海賊旗についてです。今では危険なもの、触るべきではないものなどにつけられているイメージがある髑髏とクロスされた骨のイラストですが、この旗のもつ本来の意味は「争わなければ誰も怪我をしない」ということだったと知り、とても驚きました。このように、当時と現代では意味合いや使われ方が異なっている、または変化したモチーフ、言葉などがあるということが知れて面白かったです。
最後は『天使の踏むも恐れるところ』です。こちらは『高慢と偏見』のように、ある二つの要素の対比を描いた作品であるというところに興味が湧きました。この時代、普通ならおしとやかな女性を主人公とするところを、あえて活発な女性を主人公として物語を描いたことで見えることは何だろうかという疑問は、『高慢と偏見』のエリザベスとシャーロットのように、一度じっくり考えてみたいテーマの一つです。そして読み終わった後、タイトルにもある天使とは、そして本当の愚か者とは一体誰なのかを改めて考えてみたいです。個人的にも、今後読んでみたい作品のひとつになりました。
今回で二回目の発表となりましたが、回数を重ねる毎にどれもこれも読んでみたくなって迷ってしまいます。次回の発表で読みたい作品についての発表は最後ですが、後期で何が選ばれてもきっと楽しめると思いました。
===ここまで===
演習Ⅱで何を読むか、ますます迷うところですね。25日の発表まで待って、何を読むか決めましょう。
【第5期】2018年7月12日のゼミ日誌
今回の日誌当番は、村上さんです。
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前期でカズオ・イシグロの『日の名残り』を読み進め、今回でエンディングを迎えました。
石田さんの担当箇所は、ミス・ケントンと再会して丸2日が経ち、スティーブンスがウェイマスの桟橋で夕日を見ながら再会についての想いを巡らせているところでした。
2時間の会話の中で、ミス・ケントンの家族や昔の思い出、ダーリントン卿のことを話しました。
・I must say I thought I began to notice further, more subtle changes which the years had wrought on her. For instance, Miss Kenton appeared, somehow, slower.
・the spark which had once made her such a lively, and at times volatile person seemed now to have gone.
ミス・ケントンは結婚当初は夫を愛していませんでしたが、「分別がある人で助かる」と述べています。そして娘のキャサリンのことや、もうすぐ産まれる孫のことについても話しており、スティーブンスが想像していたよりも結婚生活が危険な状態にあるということはありませんでした。
・What dose the future hold for you back at Darlington Hall?
・Well, whatever awaits me, Mrs Benn, I know I’m not awaited by emptiness.
過去にも似た問いかけの場面があり、そこでのスティーブンスは「ダーリントン卿が目標を成し遂げ、誰もに認められるときにこそ、自分も満足ができる」と答えており、上記の場面は過去の場面との対比になっているのではないか?というのが石田さんの意見でした。
前田君の担当箇所では、ミス・ケントンがダーリントンホールに戻って来てくれると思い込んでいたスティーブンスに、過去にこだわることの愚かさを気づかせ、その後に出会った元執事の老人にスティーブンスが自分の心情を吐露すると、老人は彼に「これからどう生きるかが重要だ」と語り、スティーブンスはジョークの練習をしてファラディを驚かせようと考えます。
スティーブンスはミス・ケントンがダーリントンホールに戻ってくれば、昔の水準に戻ると信じていました。しかし、ここでスティーブンスは「時間は戻せない」と気づき、ショックを受けます。スティーブンスはこのことに気づくのが遅すぎた(今まで目を逸らしていた)のです。
また、ミス・ケントンがもし仮にダーリントンホールへ戻ったとしても、2人は別れてから約25年の月日が経っているため、おそらく昔と同じように働くのは難しいと考えられます。
印象的に感じたのは、スティーブンスがジョークに再び挑戦しようとする最後の場面でした。
・I will begin practicing with renewed effort.
かつて「もう二度としない」と言ったジョークにスティーブンスが取り組もうとしており、新しくなった自分が「未来」を見据えて、前向きに捉えている様子が伺えます。
(果たしてジョークに練習というものが存在するのか、ジョークというものに練習もなにもないのでは?と思ってしまった自分もいますが)
次回から『日の名残り』についての発表が始まります。全体像についての発表は3回生の前期からやっていますが、自分が見落としていたことや、新しいことに気づけて毎回とても勉強になります。しっかり準備して、良い発表が出来るように頑張りたいです。
===ここまで===
スティーブンスは旅の終わりにどのような境地に行きついたのか。意見が分かれるところです。みなさんの場合、全体としては、人生を肯定できたのではないかという意見に傾いていたかな、と。次回からの発表でその辺りについて、再考する人がいるかもしれませんね。
【第6期】2018年7月11日のゼミ日誌
今回の日誌当番は、横田さんです。
===ここから===
7月11日のゼミは、後期の授業で読みたい作品の第1回目の発表でした。今回は 4 名の方がプレゼンしてくれました。
まず、「アーサー王の死」についてです。この作品は日本でも有名なアーサー王と円卓の騎士の物語を簡潔にまとめたもの、ということで実は私も興味のある本です。これからのも含めたすべての発表の中で一番古い作品であるアーサー王物語は創作や口伝えで伝えられてきたこともありとても歴史を感じます。円卓は上下がなくお互いに平等な立場であるという意味が込められているというのは初めて知りました。私的なことなのですがディズニー映画で『王様の剣』という作品があるのですが、のちにアーサー王となる少年が選定の剣を抜くまでのお話なので、ぜひ見てもらいたいです。
次に、『高慢と偏見』でおなじみのジェイン・オースティンによる作品『マンスフィールド・パーク』と、続けて『説得』です。『マンスフィールド・パーク』は3作目、『説得』はオースティン最後の作品で、これらの作品ができた背景も知ることのできる発表でした。どちらも主人公が地味というところが今まで授業で学んできた『高慢と偏見』のヒロイン、エリザベスとはかけ離れていて、彼女とは違うヒロインはどのように描かれているのかとても気になります。また、この 2 作も恋愛の物語なのでオースティンの作品の特徴の一つ、細かく丁寧な心理描写やそれに伴う登場人物の行動、心の動きなども読むにあたって楽しめる作品なのではないでしょうか。
そして最後に『フランケンシュタイン』です。ゴシック小説の最高峰と言われている『フランケンシュタイン』、しかしタイトルこそいろんな作品に用いられており有名ですが内容はあまり知られていない作品です。とても詳しいあらすじを聞き、人から忌み嫌われるが、言葉や教養を身に着け人に歩み寄ろうとする怪物の姿は私が想像していたものとは違っていて驚きました。容姿を除けば人間とほぼ変わらない、感情や知性があるからこそより一層怪物の孤独を際立たせています。読んだ後、とても考えさせられる作品のようです。
どの作品も面白そうで簡単には決められなさそうです。次回は第二回目の発表です。みなさんがどんな作品のどのような点が好きなのか、今から聞くのが楽しみです。
===ここまで===
プレゼンはまだまだ続きます。どれを選ぶか、悩みますね。