新井潤美先生の著書

新井潤美先生の著書は、英文学やイギリス文化に親しむのに参考になります。


まずは英米文学概論Ⅱで取り上げている『大いなる遺産』に関するものから紹介すると、平凡社新書『不機嫌なメアリー・ポピンズ』第三章は「階級と男たち」で、112ページからは「ジェントルマンと教育―チャールズ・ディケンズ『大いなる遺産』」です。


こちらの本には、タイトルに挙げられているメアリー・ポピンズはもちろん、ジェイン・オースティン『エマ』シャーロット・ブロンテの『ジェイン・エア』についても書かれています。1997年制作の映画『大いなる遺産』でエステラを演じているグウィネス・パルトロウは、『エマ』の主役(のエマ)役も演じています。そのことについてもこの本の中で触れられています。また、この本の第三章では、このブログの二つ前の記事で言及した『眺めのいい部屋』、第五章「マイノリティたちのイギリス」では、カズオ・イシグロの『日の名残り』が取り上げられています。



今日の英米文学概論Ⅱの授業で、ヴィクトリア女王と夫であるアルバート公の生活が理想的な家庭像だったことについてお話ししましたが、そのあたりについては、中公新書『階級にとりつかれた人々―英国ミドル・クラスの生活と意見』の35ページ以降に書かれています。この部分を読むと、イギリスの家庭のクリスマスの習慣としてツリーを定着させたのが誰か?も分かります。


『大いなる遺産』を読んで「ジェントルマンとはいったい何か?」に興味を持った人もいると思いますが、「ジェントルマン」ではなく「ジェント」と呼ばれる人たち(今日の授業で話した"gentleman and gentle man"の"gentle man"とは違いますよ)も、19世紀のイギリスにはいたようです。そのあたりの情報も『階級にとりつかれた人々―英国ミドル・クラスの生活と意見』から得ることができます。


自負と偏見のイギリス文化―J・オースティンの世界』岩波新書Pride and Prejudiceには『高慢と偏見』、『自負と偏見』、『プライドと偏見』と、いろいろな訳があります)やジェイン・オースティンとイギリス文化』NHK出版局)を読むと、オースティンやその作品についてだけではなく、現在、オースティンがどのように受け容れられ、親しまれているかについても知ることができて面白いですよ。